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「新選組!!」、ひとまず中締めってことで [新選組つながり]

長い長い楽しみな期間が過ぎて、ついに50話目の『新選組!』は終わってしまった。
録画見たり関連書読んだり妄想にふけったり、という余韻はまだまだ続くけど、いったんここで中締めということで、今回の感想めいたものを書いておこうと思います。
(以下、ネタバレを含みますのでご注意ください)

局長亡き後の土方歳三の1年にわたる戦いの部分はばっさり切り捨てて、新選組の最後を描くために脚本家の三谷幸喜さんが持ってきたのは3人の男たち。これが期待以上にすばらしかった。
嫌味なまでの育ちのよさと大物ぶりが板についている片岡愛之助の榎本武揚と、ちょっと小物(失礼!)なのに権力志向が強くて滑稽さを漂わせる吹越満の大鳥圭介は、絶妙のキャスティング。組織の中に必ずこういうヤツっているよねー、というキャラクターのリアルな描き分けはさすが三谷さんだ。

なかでもよかったのは、榎本・大鳥・土方を3人の「ろまんち」(ロマンチスト)として生き生きと描いたこと。
「広大な牧草地に牛を飼ってチーズを作りたい」という榎本の蝦夷地開拓の夢。そんな榎本に初めは驚きながらも、次第に心動かされ、未来を賭けてみようとする土方の夢。その後の軍議の場面では、最後まで勝利をあきらめない軍人・大鳥もれっきとした熱い「ろまんち」だった。

三谷さんがそんな3人の想いを丹念にすくい取ってくれたからこそ、「最期」は最後を意味するものではなくなっていた。敗北という結果のみを見てドラマを悲劇一色に塗りつぶすよりも、はるかに人間の本当の心情に寄り添った描き方だったと思う。

「過去を知ることは、未来を創ること」というのが、大好きな歴史学者・網野善彦さんの考え方だったけれど(過去記事参照)、同じことを三谷さんはこの「新選組!!」で伝えようとしている気がする。
特にそれを強く感じるのはエンディングに至る描き方だ。
土方歳三が死ぬシーンをラストに持ってこなかったこと。
島田魁らに「次の時代を見届ける」役目を担わせることで、生き残った隊士にとっての「生きる意味」を肯定したこと。
そして、新選組がいかに戦い、いかに生きたかを伝えてくれるだろう市村鉄之助が、草原を駆け抜けていく雄大なシーンでエンディングを迎えたこと。
三谷さんだからこそ書けた、一筋の希望を感じさせる結末だと思う。


先行放送を見てからもう4日も経つのに、気がつくと「組!!」のことばかり考えている。
とりあえずいまは、去年の暮れに文庫版が発売された『新選組秘帖 』(中村彰彦著)を再読中。
この本、島田魁とか市村鉄之助とか相馬主計とか、有名・無名を問わずいろんな隊士を主人公にした短編が収められていて、なかなか魅力的な新選組外伝なのだ。
つまり、「!!!」や「!!!!」のネタが満載ということ。
三谷さーん、ご一考いただけないでしょうかー?


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たかち

「ロマンチ」ナイスでしたね~!
PCに録画し、DVDに移しました!完全保存版です☆
by たかち (2006-01-06 19:41) 

チヨロギ

たかちさん、DVD化うまくいったんですね! よかったよかった。
わたしもこの録画は大事に保存しますよー。
なんたって去年放送した総集編も、DVDまで買ったというのに
まだもったいなくて消せない始末ですから・・・(笑)
by チヨロギ (2006-01-06 23:42) 

鎚鋸

この希望の見えるドラマが今までの新撰組像とは
また違った楽しみ方のできるものでしたね!
これは是非、「!!!」や「!!!!」と続いていってほしいものですよ!

私からも必殺のTB返しをお贈りいたします~。
by 鎚鋸 (2006-01-07 00:55) 

チヨロギ

鎚鋸さん、こんばんは。必殺TB返し、しかと受けとめました!
「壮絶に散る」という終わり方ではありませんでしたが、
非常に三谷さんらしく、後味のいいドラマでしたね。
だからこそ、次を期待したくもなるわけです。
では、島田編の票のとりまとめ、よろしくお願いしますね~。
by チヨロギ (2006-01-07 02:11) 

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