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手紙を書いていますか? [ひとりごと]

前回》、映画『明日の記憶』のことを書きましたが、その日買ったパンフレットの最後には、「家庭でできる認知症を疑うチェック」というのが載っていました。
「認知症を知るホームページwww.e-65.net」が公開しているチェックリストから抜粋したもので、その11番目に書かれていたのが、「手紙を書いていますか」。

だからというわけではないんですが、昨日はすごくひさしぶりに手紙を書きました。
あ、でもメールじゃないんですよ。便箋にペンで書く、超アナログ(?)な手紙のことです。

1週間ほど前にもらった叔母からの手紙への返事なんですけど、書き上げるのにほぼ半日かかってしまいました・・・。
手は痛くなるし、肩は張るし。ふだん縦書きの文章などまったく書く機会がないものだから、字の大きさも字間もバランスむちゃくちゃ。情けなさを通り越して笑ってしまいました。はははー。

手紙をくれた叔母というのは、今年もう89歳。いまは介護付き有料老人ホームに住んでいます。
数年前に夫を亡くし、一人娘(わたしから見ればイトコ)が転勤でニューヨークに行ってしまったため、独り暮らしは危ないと、入居を決めました。
頭はしっかりしているほうなんですが、それでもリフォーム詐欺まがいの悪徳業者に何度もだまされ、不要な床下乾燥機や庭木の手入れのために何十万円払わされたことか。
ただ、話し相手のいない叔母にとっては、うわべだけでも親身になって話を聞いてくれる業者の人間を、つい信じたくなるのは無理もないことでした。

「まだ独りでやっていける」という気持ちも本人にはあったものの、いざホームに入居となれば、なじみのない場所で新しい人間関係を一から創りあげることは、体にも心にも計り知れない負担をかけるはずです。
いまならまだ、新しい環境に耐えるだけのエネルギーが残っている。
最後は本人もそう納得して、市内に新しくできたばかりの老人ホームに入居する決心をしたのです。

この前のゴールデンウィークを利用して、叔母に会いに行ってきました。
若いころは気位が高く、長男の嫁であるうちの母にずいぶんきつく当たる人でしたが、いまではすっかり柔和な性格になり、わたしたちの訪問を心からよろこんでいる様子。
それから数日後、便箋4枚にわたる長い手紙が叔母から届いたのです。
内容はというと、先に亡くなったきょうだいから父母、祖父母、曽祖父母にもおよぶ家族の来歴、人となりを書きつづったもの。べつに衝撃の事実とか秘密の暴露とかはないんですが(そりゃそうですねー)、その記憶力には驚くばかりです。
自分が知っていることを、生きているうちにすべて伝えておきたい。そんな切実な想いを行間からひしひしと感じました。

ところが、返事を書くこちらのほうは、手紙らしい言いまわしをひねり出すのにひと苦労。
まずパソコンで下書きをつくって何度も直しを入れ、プリントアウトして、それを見ながら手書きで便箋に清書するという、なんともまわりくどい手順です(苦笑)。
書き損じたら修正液で消すわけにもいきませんから、一字一字ものすごく神経を使って、もう精根尽き果ててしまいました。

考えたら、仕事でもプライベートでもメールに頼っていて、他人様に下手ヘタな字をさらすのも、年に1度の年賀状ぐらいなんですよね。つくづく反省しました。
最近はなはだ物覚えが悪くなっているのは、きちんと手紙を書くという行為をサボっているツケが回ってきたということなんでしょう・・・。


みなさんは、手紙を書いていますか?

 


付記

冒頭でふれた「家庭でできる認知症を疑うチェック」、以下にご紹介しておきます。

  • 曜日や月がわかりますか
  • 前と同じように道がわかりますか
  • 住所・電話番号を覚えていますか
  • 物がいつもしまわれている場所を覚えていますか
  • 物がいつもの場所にないとき、見つけることができますか
  • 電気製品(洗濯機やテレビのリモコンなど)を使いこなすことができますか
  • 自分で状況にあった着衣ができますか
  • 買い物でお金を払うことができますか
  • 身体の具合が悪くなったわけではないのに、行動が不活発になりましたか
  • 本の内容やテレビの筋がわかりますか
  • 手紙を書いていますか
  • 数日前の会話を自分から思い出しますか
  • 数日前の会話の内容を思い出させようとしても難しいですか

詳細は、こちら。→ http://www.e-65.net/

 


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kakora

私も 目上の方に書く 手紙は 一苦労ですね 
パソコンで下書きまではしないですが...( ^-^ゞ
キライじゃないんですが 最近は字を書くことが減って それだけでも大変
でもお友達へのプレゼントに添えるカードやお手紙はすらすら書いて
好きなんですけどね
時折 母にも電話でなくて 手紙を書こうかなぁと思いました
by kakora (2006-05-23 02:06) 

私も、手書きというのはかなり苦手で、時間がかかってしまいます。
先日、永く勤めた会社を辞めた後、トレーナーという地位のお世話になった上司から葉書をいただきました。すぐに返事を書いて出しましたが、綺麗に書けずに3度も書き直しました。
スペースに上手く収まらなかったり、字の大きさが不揃いになったり。
いつも、上書き保存に頼って(笑)いますから、本当に時間がかかりました。結局は、書いた四枚の中からマシな一枚を選んで投函しましたが、ちょっと情けないような気がしました。
筆記用具は大好きなので、最近も新しい万年筆を購入したりしているのですが、上手く使いこなすことは難しいものですね。
気持ちも伝わり、趣のある手書きの手紙、もっと書くようにしたいなぁ! とつくづく思います。まずは、ほぼ日手帳に線入りの絵葉書を忍ばせておく事から実行してみようかな、と思いました。
by (2006-05-23 02:10) 

チヨロギ

>kakoraさん 
そうなんです。何しろ相手は高齢ですから言葉を選びたいですし、以前も手紙をよろこんでくれたのを知っているので、余計プレッシャーになってしまって・・・^^;
結局便せん3枚になりました。
昔はよく友人にも手紙を書いたのに、いまではメールばかり。
でも、手書きだからこそ伝わるものもあるのでしょうね。
お母さまにお手紙、ぜひ書いてさしあげてください(^.^)
by チヨロギ (2006-05-24 00:51) 

チヨロギ

>saraさん 
葉書というのがまた小さくて苦労しますよね。知人への簡単なメッセージにはいいですけど、元上司宛となれば、失礼があってはいけないと緊張してしまいそうです。
しかも便せんと違って、2枚目に続きを書くわけにもいかないですし。
saraさんは筆記用具にこだわりをお持ちですから、きっと書き味のいい万年筆なんでしょうね。私が唯一持っている万年筆は、なかなか出番がないのでインクが詰まってしまい、引き出しの隅に打ち捨てられたままです(苦笑)
あ、思い出した! saraさんの手帳、すごく几帳面に予定を書かれていましたよね。あれで手書きが苦手とはとても思えません。
それにひきかえ、私の手帳は悲惨だからなぁ・・・(-_-;)
by チヨロギ (2006-05-24 00:52) 

柴犬陸

亡くなった父が、筆まめで手紙をよくくれたことを思い出しました。
ただし、ワープロでした。(ワープロ専用機でした)
どうもパソコンと手書きでは文章に違いが出るような気がしますが、どうでしょうか?手直しすることを前提に書けるからかしら?
ところで、認知症チェック、とても参考になりました。
by 柴犬陸 (2006-05-24 10:55) 

たかち

手紙って読み直すとおかしいところがあったりするんですよね。
で、書き直し→でもおかしい→書き直し→でも・・・堂々巡り。
メールばかりだからこそ、手紙って必要ですよね!(書かなきゃ)
by たかち (2006-05-24 21:57) 

チヨロギ

>柴犬陸さん 
私もかつて、東芝ルポの愛用者でした(^.^)
ご指摘のとおり、文章は明らかに違いますね。手書きよりもパソコンのほうが内容が散漫になりがちな気がします。パソコン画面で見ていると、ひとつの言葉や文字に意識が集中してしまいますが、紙の上だと全体を俯瞰して見られるからかもしれません。
そういうこともあって、私は仕事でもパソコンで書いた文章は必ず一度、プリントアウトしてから贅肉を削るようにしています。
あと、ネットで連載されたコラムや対談などが出版されたのを読むと、どうもスカスカな感じがすることはありませんか?
by チヨロギ (2006-05-24 23:27) 

チヨロギ

>たかちさん 
わかります~! まさにその堂々巡りで、私は半日も費やしてしまったわけです(苦笑)
メールは思いついた時にパッと書けるのが利点ですけど、どんどん流れて消えていく感じ。でも手紙はあとで読み返す楽しみがありますよね。
時々は手紙を書いてみようと思いました。老化防止のためにも!(笑)
by チヨロギ (2006-05-24 23:31) 

柴壱

最近、手紙書いてないですぅ~(^^ゞ
っていうか、文字そのものをほとんど書いてませ~ん(^_^;)
手紙は、PCでプリントするものになってしまいました…よくないですね。
早くボケるかも…。
by 柴壱 (2006-05-25 23:41) 

うみのつばめ

あ~ お手紙書きたいなぁ~
って、声に出してしまいたいほど、娘の頃のように手紙を書いていません。
嫁に来て出歩かなくなってから現在、手帳の住所録は、真っ白けです。
で、改まって実家へ手紙を書くっていうのも照れくさいしなぁ~
と、常々日々思っているところへ、チヨロギさんの記事です。
昔だったらお手紙を書いている時間が、現在はブログの打ち込みです。
頭で文章を考えても、手が書くことを忘れてしまっています。
手書きで物を書くときは、辞書がないと最早何も書けない状態ですわ。
ボケチェック、ぎりぎりでした。
手書きの手紙、書かなくちゃ。
by うみのつばめ (2006-05-26 19:47) 

チヨロギ

>柴壱さん 
私も自分の字を人に見せるのは、年賀状の「ひと言」と、宅配便の伝票ぐらいなんですよ~~。今回は縦書きのせいか、さらに汚い字が目立ってしまい、自己嫌悪に陥ってます。
認知症チェック、私はかなりヤバイ状況に! 早いどころか、もう始まってるかも^^;
by チヨロギ (2006-05-27 02:28) 

チヨロギ

>うみのつばめさん 
私も10代のころ、気に入ったレターセットを買い求めては手紙を書いていた時期がありました。これじゃ本末転倒ですが、それでも書きたいことは尽きませんでしたよね。
>手書きで物を書くときは、辞書がないと最早何も書けない
まさにそれ! パソコンは「変換」キー一発で漢字が出てくるから便利なんだけど、そのぶん脳みそはどんどん書き方を忘れる一方です。
ご実家にお手紙、いいと思いますよ~。いつもは照れくさくて言えないことも、意外にさらっと言えてしまうかも(^.^)
by チヨロギ (2006-05-27 02:32) 

Kimball

こうしてコメント書くときと同じぐらいの気軽さと分量でいいはずなのに
なぜ、書けないのでしょうねえ?実家への手紙....
ふっふ、でも、アインシュタイン先生も苦手だったそうですから。
筆不精なのはだれでも人間だれでも一緒だそうです。\(^o^)/
http://blog.so-net.ne.jp/kimball/2005-10-29-3
結局は「書こうとする努力」が必要だそうで。
by Kimball (2006-05-27 23:03) 

チヨロギ

Kimballさん、リンク先の記事を拝読しました。
「天才も凡才も、課題から逃れようとする行動原理は同じ」ってところに、妙に勇気づけられました^^;
今回、返事書かなきゃと思いながら、ついつい日延べにしてきたのも「課題逃れ」で、「書こうとする努力」が欠落していたと。図星です。いやはや、面目ない(>_<)
by チヨロギ (2006-05-28 01:20) 

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