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「西の魔女が死んだ」 [cinema]

『オズの魔法使い』とか、『魔女の宅急便』とか。
そんなファンタジーを想起させるタイトルですけど、
ラリホー[眠い(睡眠)]を唱える魔法使いが出てくるわけではありません。
原作は、児童文学作家・梨木香歩による同名のロングセラー小説。
といっても、私は読んだことがなかったんですが。
試写会に行かれたびっけさんのレビュー記事を読んで、
ああ、いい話だなぁと思って、
映画の公開を心待ちにしていました。


パンフレットの表紙

[data]
監督:長崎俊一
原作:梨木香歩『西の魔女が死んだ』(新潮文庫)
脚本:矢沢由美、長崎俊一
出演:サチ・パーカー、高橋真悠、りょう、大森南朋、高橋克実、木村祐一、ほか

[story]
「魔女が倒れた。もうダメみたい」
中学3年生の少女まい(高橋真悠)に、車を運転しながらママ(りょう)が言う。
“魔女”というのは、まいのママのママ、イギリス人のおばあちゃんのこと。
まいの脳裏に、2年前、おばあちゃんと過ごした日々の記憶がよみがえってくる。
中学に入学して間もなく登校拒否になってしまった彼女は、
森で暮らすおばあちゃん(サチ・パーカー)のもとで過ごすことになったのだ。

ある夜、おばあちゃんは、自分の祖母の透視能力と不思議な体験の話をする。
  まい「おばあちゃん、もしかして、うちはそういう家系なの?」
  おばあちゃん「大正解」
自分も魔女になりたいと願うまいは、さっそく“魔女修行”を始める。
おばあちゃんが言う魔女修行とは、早寝早起きをし、しっかり食べて運動して、
規則正しい生活をすること。
そして、「何事も自分で決める」ということだった。
魔女になるためにいちばん大切なもの、意志の力を手に入れるために。

自然とともに生きる毎日の中で、次第に元気を取りもどしていくまい。
ところが、ある出来事がきっかけでおばあちゃんと言い争いとなり、
仲直りできないまま森を去ることになってしまう――。




なんといっても「西の魔女」、おばあちゃんがすばらしい。
すべてを包み込むような優しさと、英国流のセンス・オブ・ユーモアで、
まいが抱えるどんな不安もまっすぐに受けとめてくれます。

おばあちゃん役のサチ・パーカーはシャーリー・マクレーンの娘だそうですが、
純粋なアメリカ人だというのに見事なイギリス人っぷり。
(参考:イギリス人バージョンと、アメリカ人バージョン。同じ人物です)
2歳から12歳まで日本に暮らしていたとはいえ、
こんなに明瞭で美しい日本語を話せるというのも、びっくりです。

さて、この映画では、「死」というのも大事なテーマのひとつ。
人は死んだらどうなるのか、想いはどこへ行ってしまうのか。
苦痛を感じるのが体なら、なぜ魂が体を持つ意味があるのか。
死の恐怖に怯えるまいの心を、おばあちゃんの言葉が少しずつほぐしていく。
おばあちゃんの布団に、二人一緒にくるまって。
とても印象的なシーンです。

そんな大切なおばあちゃんとの別れは、苦い後味を残したまま。
自分のことのように、胸がきりきりと痛みました。

あんなこと言わなければよかったと思うことや、
あのとき言っておけばよかったと思うこと。
そういう悔いをたくさん積み重ねて、人は成長するのだと思います。
それは主人公のまいだけではなく、まいのママもそうだったし、
きっとおばあちゃんもそう。

自分も小学校になじめず登校拒否をした前科があるので、
主人公のまいにはすぐ感情移入してしまいましたが、
観ているうちにだんだん、脳内がおばあちゃんモードに。
考えたら、まいよりおばあちゃんのほうが年齢近いんですよね(苦笑)
私もこんなおばあちゃんになりたいです・・・魔女にはなれなくても。


◆◆◆◆


●「西の魔女が死んだ」公式サイト http://nishimajo.com/

●原作は、こちら。
西の魔女が死んだ (新潮文庫)

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

  • 作者: 梨木 香歩
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2001/07
  • メディア: 文庫


●山梨県清里(KEEP内)につくられた「おばあちゃんの家」オープンセットが、
 2009年1月4日まで公開されているそうです。
 詳細は、こちら。 http://www.keep.or.jp/nishimajo/


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コメント 25

アリスとテレス

映画のタイトルは何度か目にしていたんですが、
外国の映画かと思ってました^^;
色々と考えさせられる映画のようですね。
by アリスとテレス (2008-06-28 17:39) 

チヨロギ

◇アリスとテレスさん◇
私も最初、全然違うタイプの映画を想像してました。
そもそも「魔女」って、ヨーロッパのものですしね^^
そうそう、ワイルドストロベリーとか、イングリッシュラベンダーとか、
映画に出てくる野草やハーブもすてきなんですよ♪
by チヨロギ (2008-06-28 18:10) 

柴犬陸

この映画は、新聞で読んで注目していました。
やっぱりご覧になったんですね。
>英国流のセンス・オブ・ユーモア
とても憧れます。
そんな人になりたいです、もう遅いとは思わずに。(苦笑)
それにしても、イギリス人バージョンとアメリカ人バージョンの比較は、チヨロギさん流のセンス・オブ・ユーモアですね。
とても素晴らしいです。
by 柴犬陸 (2008-06-28 23:59) 

びっけ

こんにちは。
リンクありがとうございます!
試写会ではパンフレットは無かったので、ステキな薔薇の花の表紙に感動しました。
イギリス人バージョンとアメリカ人バージョン、よく写真を見つけられましたね!
別人にしか思えません。
女優の化ける力の凄さを感じました。(^^;

清里の「おばあちゃんの家」は、ぜひ行きたいと思っています。
by びっけ (2008-06-29 00:14) 

Sanchai

私も外国の映画かと思って敬遠したのですが、娘からせがまれて文庫本を購入して日本を発って(インド在住につき)、本を読んでみて、映画を見なかったことに後悔しました。
by Sanchai (2008-06-29 01:30) 

sara

実は、私もブロガーさん限定の試写会に当たったのですが、仕事の問題で行けませんでした。
「魔女修行」と言われたら、せっせと動いてしまいそうですものね。(^-^)
環境が変わって、不思議と素直になれたり、感動を味わったりって素敵なことですね☆
私は今日、DVDで遅まきながら「トスカーナの休日」を見て、しみじみ思いましたもの。
視点を替えてみるのも面白いですね。願いは叶うもの。ちょっと旅に行きたくなりました。
by sara (2008-06-29 01:50) 

椎名

イイナァ~~!
チヨロギさん、もう観に行かれたなんて・・・。
椎名、梨木さんの本は好きでこの作品もとっても好きな話です。
映画化、どうなのかな?と思ってたんですが、とても良さそう!ですね。
うぅ~ん、観に行かなくては!

原作もオススメですよー。
by 椎名 (2008-06-29 01:58) 

janvierm

かなり気になっとる作品なのでDVD化を(セコイですね;;;)
ずっと待っとる私です;;;

本だけでも見ようかな・・・っとストーリーを聞いてより強く思ってしまいました♪

by janvierm (2008-06-29 09:28) 

leaf

ずっと気になっていた映画です。
しかし.......
あぁ!サチ・パーカーってあの!サチコ・パーカーだったのですね!
今まで気づきませんでした〜〜@@
ママに似てきましたね:-)



by leaf (2008-06-29 13:55) 

たかち

これ、読みましたよ!
穏やかでいい作品ですよね~
映画の主題歌を手嶋葵さんが歌ってるので、めっちゃ気になってます!
by たかち (2008-06-29 19:36) 

チヨロギ

◇みほさん、nice!ありがとうございます。
by チヨロギ (2008-06-29 23:30) 

チヨロギ

◇柴犬陸さん◇
すでにチェックされていましたか~(^.^)
おばあちゃんがイギリス人という変わった設定なのに、
その暮らしぶりや人物造形に違和感がないなあと思ったら、
原作者の梨木香歩さんはイギリスに留学経験があるそうです。
ネガティブな気持ちになっているときほど、ユーモアは大切ですよね。
ただ、私の場合はユーモアというより、単なるウケ狙いでして・・・(汗)
出直してまいります! C= C= C= C= ┌(;・ω・)┘
by チヨロギ (2008-06-29 23:32) 

チヨロギ

◇びっけさん◇
いい作品をご紹介くださって、ありがとうございました m(__)m
このパンフレットには「まいの魔女修行ノート」が付録でついていて、
決め事とか時間割が手書き文字で印刷してあるんですよ(^.^)
 >女優の化ける力の凄さを感じました
いやはや、並の化け方ではありませんよね!(笑)
「おばあちゃんの家」、屋内が公開されたら私もぜひ行ってみたいです~♪
by チヨロギ (2008-06-29 23:33) 

チヨロギ

◇Sanchaiさん◇
TBをありがとうございました!
そうですか、インドにお住まいなんですね。
そちらでもこの映画がご覧になれるといいのですが。
原作本、遅ればせながら私も読んでみたいと思っています。
by チヨロギ (2008-06-29 23:34) 

チヨロギ

◇saraさん◇
試写会って、私は一度も当たったことがないんです。
プレミア試写とか、やっぱり憧れますよね~♪
「魔女修行」、私にはかなりむずかしそうです(^^;
「しっかり食べる」は得意ですが、「運動する」がちょっと・・・(苦笑)
でも、体が活力を取りもどすと、心も元気になることは確かですね^^
by チヨロギ (2008-06-29 23:34) 

チヨロギ

◇椎名さん◇
原作をすでに読んでいらっしゃるんですね。
私は読んでいないのですが、今回映画を観ていて、
これは原作に力があるんだなと感じる部分は多かったです。
セリフや設定は、かなり原作に忠実なようですよ。
あとは椎名さんのイメージにどれだけ近いかですが・・・。
原作、これからぜひ読んでみたいと思います!
by チヨロギ (2008-06-29 23:35) 

チヨロギ

◇shinwaさん、nice!ありがとうございます。
by チヨロギ (2008-06-29 23:36) 

チヨロギ

◇janviermさん◇
いやいや、DVDだろうとテレビだろうと、
ご覧になれる方法でお楽しみいただければと思いますv
私はまず原作本を入手しないと!
by チヨロギ (2008-06-29 23:38) 

チヨロギ

◇leafさん◇
サチ・パーカー、ご存じでしたか。
でも気づかなくて当然だと思います!
彼女の実年齢を聞いて、とても信じられませんでしたから。
ほんとにすてきなおばあちゃんでしたよ~♪
by チヨロギ (2008-06-29 23:38) 

チヨロギ

◇たかちさん◇
やっぱりお読みになっていましたか。
ほんとにいい作品ですね~。原作をぜひ読んでみたくなりましたv
手嶋葵の歌はエンディングテーマになっています。
映画の雰囲気にとてもよく合っていましたよ^^
by チヨロギ (2008-06-29 23:39) 

チヨロギ

◇春分さん、nice!ありがとうございます。
by チヨロギ (2008-07-02 00:17) 

Kimball

ご紹介ありがとうございました!!\(^o^)/

DVD出るのを待たなくちゃ...
た、たぶん、原作は読まずに映画を待ったほうが
小生には良いような予感...\(^o^)/

by Kimball (2008-07-04 06:31) 

チヨロギ

◇Kimballさん◇
未読でしたら、映画→原作の順に楽しまれたほうがよさそう。
とくにラストシーンは、予備知識がないぶん感動が大きかったです(T^T)
by チヨロギ (2008-07-05 13:38) 

Morimo

ファンタジーっぽいタイトルですよね。
by Morimo (2008-07-06 21:34) 

チヨロギ

◇Morimoさん◇
やっぱり「魔女」と聞くと、帽子とほうきを連想しますよね^^;
by チヨロギ (2008-07-06 23:54) 

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