北千住の「ひとり」と渋谷の「三十人」を観る：「三十人」篇

承前。

「ひとり」篇の翌週は、清水邦夫×蜷川幸雄作品、「雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた」を観てきました。



空襲で散り散りになった幻の少女歌劇団を題材にしているというので、
なんとなく宝塚チックな世界を想像していたのですが。
おなかにズンズン響くハードロックが流れるなか、電飾キラキラの大階段をおりてきたのは、
白いタキシード姿の化粧したおじさんたち（古谷一行・石井愃一・磯部勉・山本龍二＆横田栄司）。
そーいう趣味の人たちかと思ったらそうではなく（笑）、かつて歌劇団の熱狂的ファンだったという、
「バラ戦士の会」の面々なのでした。
歌劇団の元娘役トップ、風吹景子（三田和代）の頭の中は、空襲のショックで時間が止まっている。
そんな彼女の妄想につきあって、バラ戦士たちは夜な夜な「ロミオとジュリエット」の稽古に励むのです。

このあと、再集結を呼びかける新聞広告に応じて、元団員たちが続々と集まってきます。
すでに若くはない彼女たちが再会をよろこび、私服のままダンスを踊りだすシーンは感動的。
ニナ・ハーゲンのパンクロックを熱唱する元歌姫役の毬谷友子なんて、もうカッコよすぎです☆

狂気と正気、少女と老婆の境を危うげに行き来する、三田和代の迫真の演技。
そして彼女が待ち焦がれる、男役トップ・弥生俊＝鳳蘭は、頭のてっぺんからつま先まで「スター」そのもの。
ついに再会した二人が演じる最高の「ロミオとジュリエット」は、しかし衝撃的な結末を迎えて・・・。

横たわる美しいロミオとジュリエットが象徴するものは、無垢な青春、過去の栄光、それとも届かない夢？
ラスト、何かにとりつかれたように踊る「三十人のジュリエット」たちに、
青春の屍を踏み越えて「いま」を生きてゆけというメッセージを見た気がしました。

感動の余韻をかみしめる間もなく、カーテンコールで流れてきた「デイ・ドリーム・ビリーバー」（ザ・タイマーズ）。
これには思わず涙が・・・(┯_┯)
芝居とリンクするような歌詞と忌野清志郎のやわらかな歌声が、胸に沁みてたまりませんでした。



公演プログラムより

［data］
作：清水邦夫
演出：蜷川幸雄
出演：鳳蘭、三田和代、真琴つばさ、中川安奈、毬谷友子、石井愃一、磯部勉、山本龍二、横田栄司、
　ウエンツ瑛士、古谷一行、他
公演日程：2009年5月6日（水）～30日（土） Bunkamuraシアターコクーン
上演時間：1幕1時間20分、休憩20分、2幕1時間15分

◆◆◆◆

［おまけYouTube］

歌姫・毬谷友子さんが歌ってたニナ・ハーゲンの「Naturträne」（←読み方がわかりません）。



まさかこんな化粧はしてませんでしたが(＞▽＜;;
毬谷さんの4オクターブの歌唱力を堪能しましたv

＊「ひとり」篇は、こちら。

タグ：清水邦夫 蜷川幸雄 シアターコクーン 三田和代 毬谷友子

コメント 36

続けての観劇だったのですね☆

わたしも、ここ最近（ＲＣのですが）「デイドリーム・ビリーバー」を聴いては目頭を熱くしちゃっております。。。。

内容と関係ナイ話しちゃって、スミマセン（－人－）
by yukky (2009-05-28 02:14) 

連続記事upにやられました。＾＾
たしかに、ひとりと三十人は対称的ですね。
この芝居迷ったのですが、スルーしないで良かったです。
三田さんは予想を裏切らなかったし、鳳蘭は、実に「ラマンチャの男」以来でしたが、スターのオーラがありましたね。
ニナ・ハーゲンは知らなかったのですが、毬谷さんの歌唱にもやられました。
そして、きわめつけはカーテンコールでの清志郎の「デイドリーム。。」です。
号泣でした。
by 柴犬陸 (2009-05-28 17:28) 

「バラ戦士の会」
名前見て最初笑っちゃったけど、ジュリエットを見守るんですね♪
ステキだ～～（＾－＾）
by たかち (2009-05-28 19:57) 

蜷川幸雄さんの演出は半端でないという話、よく聞きますが、やはり作品も半端でないようですね。
by cocoa051 (2009-05-28 20:20) 

中川安奈さん、腸閉塞で緊急入院だそうですね。
でも、今日1日のみ休演で、明日から通常通りとか。
すごい、女優魂！！
by 柴壱 (2009-05-28 21:07) 

ニナ・ハーゲン、懐かしいです。映像で見ますと、迫力が倍増ですね(笑)。
「バラ戦士の会」って面白そうです！　がんがんのロックが流れる芝居、見たい♪
カーテンコールで清志郎さんのデイ・ドリーム・ビリーバーですか。泣けて来ます。
by sara (2009-05-28 22:12) 

◇yukkyさん◇
それが関係なくないんです、「デイドリーム・・・」の日本語詞がお芝居の内容とぴったりで。
ほんと、何度聴いてもいい曲ですよねぇ・・・(T-T)
by チヨロギ (2009-05-29 00:56) 

◇漢さん、nice！ありがとうございます。
by チヨロギ (2009-05-29 00:58) 

◇柴犬陸さん◇
最初は1本の記事にまとめようと思って書きはじめたのですが、
だらだら長くなりそうなので、結局ふたつに分けてしまいました(￣ー￣;
「雨の夏・・・」は私も、母が観たいと言わなければスルーしていたと思います。
見逃さないでよかったですよー、ほんとに！
三田さんは最後まで目が離せない、見事な演技でしたね。
鳳蘭さんは、そこに立っているだけで引き込まれるような存在感でした。
毬谷さんの迫力たっぷりの歌、そして清志郎の懐かしい歌声。
「ずっと夢見させてくれてありがとう」という歌詞そのまんまの気持ちでした。
by チヨロギ (2009-05-29 01:02) 

◇たかちさん◇
バラ戦士といいつつ、愛嬌のあるおじさんたちなんですよ～(￣ー￣)
いつも迫力ある女性たちに押されがち。でも、なくてはならない存在です。
冒頭の真っ赤な口紅にはギョッとしましたけどね（笑）
by チヨロギ (2009-05-29 01:03) 

◇cocoa051さん◇
蜷川さんの舞台には、現代的なメッセージがこめられたものが多いですね。
それが強すぎると感じることもありますが、今回は程よい加減だったように思います。
by チヨロギ (2009-05-29 01:06) 

◇柴壱さん◇
知りませんでした、緊急入院ですか！
むずかしい役どころだから、かなり無理してがんばっていたのかも。
（ダンスシーンとか微妙だったし・・・。）
なんとか持ちこたえて、無事に千秋楽を迎えてほしいですね。
by チヨロギ (2009-05-29 01:07) 

◇saraさん◇
さすがsaraさん、ニナ・ハーゲンをご存じでしたね。懐かし映像をお楽しみいただけましたか？
こんな歌を歌えるんですから、毬谷さんもタダモノではありませんよね(￣ー￣)
「デイ・ドリーム・ビリーバー」が聞こえてきたときは、それまでこらえていた涙が・・・。
いい舞台でした。
by チヨロギ (2009-05-29 01:08) 

チヨロギさんが書かれた内容だけで
お芝居の迫力が伝わってきました。すごいねぇ蜷川さんのお芝居。

ニナハーゲンバンド懐かしいです。(古いものばかりよく知ってるお年頃ｗ)
あの独自な声と歌い方は今も健在なんだね。
ソロになっての活動からは、ほとんど無縁だったなぁ。
by ゆううこ (2009-05-29 10:47) 

◇きむたこさん、nice！ありがとうございます。
by チヨロギ (2009-05-30 02:50) 

◇ゆううこさん◇
蜷川さんの演出はメリハリがあって飽きさせないし、
わかりやすいけど押しつけがましいところがなくて、
だいたい行って損はないと思いますv

ニナ・ハーゲン、かなりお詳しいんですね！
このYouTubeはけっこう古いもので、最近の様子は知らないんです。
誰にも真似できない歌い方ですよね。毬谷さんを除いては(￣∇+￣)v
by チヨロギ (2009-05-30 02:51) 

話しの内容だけでもおもしろさ伝わってきました♪

動画の方にはちょっと驚きましたｗ
顎関節症の私では絶対アゴがハズレそうな・・・・・ｗ
でも歌唱力は凄すぎです♪
by janvierm (2009-05-31 17:55) 

「ひとり」と「三十人」とは、面白い対比ですね。
"Daydream Believer"は名曲ですね( ´−｀)
・・・って、あれ？　どこかで書きましたっけ（笑）
by Yuseum (2009-05-31 20:58) 

◇Morimoさん、nice！ありがとうございます。
by チヨロギ (2009-06-01 01:09) 

◇janviermさん◇
すごくいいお芝居だったので、その魅力がほんの少しでもお伝えできればウレシイです。

ニナ・ハーゲンの動画、刺激が強すぎたでしょうかw
　> 顎関節症の私では絶対アゴがハズレそうな
えええ？！　危険ですので、絶対マネしないでくださいね！（汗）
by チヨロギ (2009-06-01 01:10) 

◇Yuseumさん◇
この2本を続けて観たのは偶然なのですが、
よく見たらタイトルも会場もキャストも対照的だなあと思いまして。

"Daydream Believer"は永遠の名曲ですよね。
ん？　この会話・・・デジャヴ？(￣ー￣)
by チヨロギ (2009-06-01 01:11) 

◇c_yuhkiさん、nice！ありがとうございます。
by チヨロギ (2009-06-02 00:59) 

◇kisskさん、nice！ありがとうございます。
by チヨロギ (2009-06-02 01:00) 

◇amaneさん、nice！ありがとうございます。
by チヨロギ (2009-06-02 01:01) 

そうそう、これ、観に行きたかったんですよ。
とんちゃんが出ているので・・・
絶対音感を持つとんちゃんなので、ストレートプレイの芝居よりも、ミュージカルに出てほしいと思っているんですけど。ここ最近は、蜷川芝居が多いですね。
歌、聴きたかった～
とんちゃんが歌った、ご本人さんを貼ってくださってありがとう＾＾V
by うみのつばめ (2009-06-02 18:40) 

◇たねさん、nice！ありがとうございます。
by チヨロギ (2009-06-03 00:03) 

◇うみのつばめさん◇
毬谷さんの歌を聴きながら、つばめさんのことを思い出してたんですよ～(^.^)
「とんちゃん」という呼び名を教えてくださったのも、つばめさんでしたから。
私は逆にストレートプレイしか観たことがなく、こんなに歌唱力がある人とは知りませんでした。
たまには聴かせてくれないと、もったいないですよね。
原曲を歌ってる方は少々ブッ飛んでますが、お楽しみいただけたでしょうか(￣ー￣)
いい舞台だったので、テレビでぜひ放送してほしいですね。
by チヨロギ (2009-06-03 00:07) 

◇いっぷくさん、nice！ありがとうございます。
by チヨロギ (2009-06-04 02:02) 

本当に素晴らしい舞台でしたね。
清水邦夫×蜷川幸雄の作品はこれまでもいろいろ見てきましたが、その中でダントツに面白く、心に響きました。
とにかくいろんなシーンで感涙でした。
三田さんと鳳さん、この二人の掛け合いを見られただけでも、自分の中の宝だなぁ、と思います。
「デイドリームビリーバー」は、芝居の内容と歌詞がリンクしていて、感動ひとしおでしたね！
フー子（三田さん）が最後のセリフで「夢の中で生き続けるのも力がいるわ。」と言っていますし、
まるでこの芝居のための歌、いやこの歌のための芝居？と思ってしまうくらい・・・。

ちなみに・・・中川安奈さんが腸閉塞で入院されたため、２公演が公演中止になり、最後２公演は毬谷さんが中川さんのやっていた夏子役、毬谷さんの役は基本的には難波真奈美さんが引き継いでやっていらっしゃいました。

by aya (2009-06-04 11:45) 

◇ayaさん◇
いい舞台でしたね～(´ー｀)
うちの母が観たいと言うのでチケットをとったもので、じつはあまり期待していなかったんです。
そしたら、ほんとにもう感動的な舞台で。
三田さんのガラスのような演技、鳳さんの圧倒的な存在感、ジュリエットたちの熱い想い。
カーテンコールのキヨシロウの歌に至るまで、すべてが胸に迫ってきて、最後は涙・涙でした。
公演中止と代役のこと、コクーンの公式サイトで発表されていましたね。
夏子役については、真琴つばささんが演じるのを観てみたかった気もします。
by チヨロギ (2009-06-04 23:09) 

あれぇ～ぇ？

押した筈の　`nice!｀　が入ってなぁ～い！

もう１度「えい！」

お芝居、好きですよねぇ～。。
ワタクシももう少し行けたら良いんだけど－。。

まあ、今は何事も我慢我慢我慢。。
いわば「非常時」ですから。。
by 向日葵 (2009-06-05 02:11) 

◇向日葵さん◇
あれれ？　向日葵さんのnice！ははじかれてしまっているみたいです(>_<)
何度もお手間をかけて申し訳ありません<m(__)m>

先の予定が立てられない状況では、芝居のチケットをとるのはむずかしいですよね。
何よりいまは、お体をお大事に。
by チヨロギ (2009-06-06 03:04) 

◇さくママさん、nice！ありがとうございます。
by チヨロギ (2009-06-08 15:02) 

◇shinwaさん、nice！ありがとうございます。
by チヨロギ (2009-06-10 23:04) 

◇エイジさん、nice！ありがとうございます。
by チヨロギ (2009-06-12 17:18) 

◇Kimballさん、nice！ありがとうございます。
by チヨロギ (2009-06-23 03:19)