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ベッジ・パードン@世田谷パブリックシアター(追記あり) [theatre]

待ちに待った「ベッジ・パードン」観劇の日。
どういうわけだか猛烈な眠気に勝てず、観客の拍手を聞いてハッと我に返りました。
しまった! 芝居の内容、ひとっつも憶えてない・・・。

・・・・

という夢を見ました。観劇の前日に。
まったくもう、いやな汗かきましたよ~(;´д`)


[data]
シス・カンパニー公演「ベッジ・パードン」
作・演出:三谷幸喜
出演:野村萬斎、深津絵里、大泉洋、浦井健治、浅野和之
公演期間:2011年6月6日(月)~7月31日(日) 世田谷パブリックシアター
上演時間:3時間5分(15分の休憩あり)



「三谷幸喜生誕50周年大感謝祭」の今年、舞台で上演される新作4本のうち3本目がこの「ベッジ・パードン」です。
作品は夏目漱石の英国留学中のエピソードをモチーフにしていて、世田谷パブリックシアター芸術監督の野村萬斎が、主人公の漱石役。
深津絵里とか大泉洋とか、周りを固めるキャストもあまりに魅力的で、チケットが取れるか心配だったのですが、先行予約で無事入手。見上げる首が痛くなるほどいい席でした。
4本目もこの調子でいきたいなぁ。

物語の舞台は、1900(明治33)年のロンドン。国費留学生として英国滞在中の夏目金之助(漱石の本名)が、新しい下宿に引っ越してきます。
そこには商社に勤める日本人のソータロー(大泉洋)も住んでいるのだけど、英語上達のためだからといって日本語を禁じられ、金之助はがっかり。
ソータローと違って英語が流暢にしゃべれず、引きこもりがちな金之助が、唯一安心して話せるのが使用人のアニー(深津絵里)。
下町生まれでコックニー訛りがきつい彼女は、"I beg your pardon?" が "bedge pardon?" に聞こえるというので、金之助は彼女に「ベッジ」というあだ名をつけ、次第に二人は親密な仲になっていきます。
ベッジの弟グリムズビー(浦井健治)も金之助を一方的に気に入るのですが、おかげで彼のとんでもない企みに金之助は巻き込まれることに・・・。

ストーリーはほろ苦いエンディングを迎えるものの、全体にはコメディな要素たっぷり。
野村萬斎の現代劇ってどうなのかなと思ったけど、ぎこちない物言いや独特の間のとり方といい、姿勢がミョーによすぎるところ(とくに首の角度)といい、英国にも英語にもなかなかなじめない金之助になりきってました。
深津絵里はもう、かーわいーい♪(デレデレ) 相変わらず声がいいんですよねー、声が。
教養はないけど真実を見通す目をもっているベッジを、愛情こまやかに演じてます。切ないです。
舞台は初見でしたが大泉洋、「笑いは任せろ」的余裕を見せつつ、ソータローの屈折した心情もよく伝わるいい演技でした。
浦井健治については、パンフレットに印象的なエピソードが。三谷さんに伝えたいことがあると、犬を主人公にした童話を書いて提出したんだそうです。彼って・・・もしかして不思議ちゃん?
そして、浅野和之さん(←突如「さん」付け)。脱帽です。
叔母との旅』で演じた10役を超えて、今回は11役に挑戦。三谷さんの並々ならぬ対抗意識を感じます。(笑)
下宿の大家さん夫婦にシェイクスピア学者、シャーロキアンにはおなじみのブラッドストリート警部、果てはビクトリア女王から飼い犬のミスター・ジャックまで、その演じ分けはお見事と言うほかありません。
彼がビクトリア朝のあらゆる英国人をたった一人で演じるのには、じつはワケがあるんですけどね。

ところで、この作品では「言葉」にまつわるコンプレックスとかアイデンティティというのがキーになっているのだけど、もうひとつ大きな役割を果たすのが「夢」。
ちなみに冒頭のわたしの「夢」は、正夢とならずにすみました。
こんなにおもしろかったら、眠たくなるわけないですもんね。
・・・でもよかったぁー(ホッ)


P1060704.jpg
 稽古風景。公演パンフレットより


[追記]
前売り券は終了していますが、当日券は全ステージ発売されるそうです。
公演日前日の電話予約方法は、↓こちら。
http://www.siscompany.com/03produce/33bedge/tojitsuken.html (シス・カンパニー)
http://setagaya-pt.jp/news/2011/05/post_163.html (世田谷パブリックシアター)



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Yuseum

I beg your pardon?が「ベッジ・パードン」(^0_0^)ナルホド
三谷さんと萬斎さんっていうのも面白い組み合わせですね。
萬斎さんは狂言ばかりでなく、ギリシャ悲劇や現代劇なども積極的に取り入れてお芝居されるので、好きですね〜。
NHKの朝の連ドラ「あぐり」では、Yuseum、エイスケさんが死んでから本編を見始めたので(;´∀`)、あとでスカパー!でちゃんと再放送を見ました。

しかし、ブラッドストリート警部とは、またマニアックですね!
確かに、シャーロッキアンには周知ですけれど、ホームズ作品の登場頻度ではレストレード警部らよりかなり落ちますから(;´∀`)

by Yuseum (2011-07-09 17:38) 

たかち

いーやーーーーー(T◇T)その夢怖いーーーー!!
私、楽しみにしてたDVDを借りてきたってのに開始5分後には眠ってしまい起きたらエンドロールだった事があります・・・
もう1回観られるならいいけど、舞台じゃそんなこと出来ないですもんね(^^;)
by たかち (2011-07-09 21:50) 

向日葵

「夢」で良かったですね。

ワタクシはやっと取ったチケット(最前列中央!!!)で、寝倒してしまった
経験があり、その時ご一緒したお方とは「それ」がきっかけで縁を切られてしまい、
勿論芝居は皆目覚えていずー!

散々でした。。
いえいえ。。ただひたすらにワタクシが「お馬鹿」なだけですが。。


「ちょいと」面白そうな部隊ですね。
あの萬斎さん、って言うのも「大注目!」ですね!
by 向日葵 (2011-07-10 01:32) 

チヨロギ

◇Yuseumさん◇
なかなか楽しい組み合わせでしたよー(*≧m≦*)
萬斎の舞台を観るのはこれで3度目だったかと思いますが、前の2作はどちらも古典で悲劇でした。
時には自分で演出もするし、新しいことにチャレンジするのが好きな人なんだろうなぁと思います。
そっか、TVドラマのほうではすでに現代劇に出演しているんですね。
「あぐり」は一度も観たことがなくて・・・。(>▽<;;

ブラッドストリート警部がホームズ作品の登場人物だと気づいたのは、偶然でした。
何かを検索していたら、たまたま「唇のねじれた男」が引っかかったんです。
なにしろ三谷さんはシャーロキアンですからねー。わざわざマニアックな人選をしたのでしょう( ̄∇ ̄)
by チヨロギ (2011-07-10 02:28) 

チヨロギ

◇たかちさん◇
やな夢でしょー?(T-T)
目が覚めてもしばらくはショックな気持ちが抜けなくて・・・。
DVD観ながら寝ちゃうことはよくあるんですけどね~( ̄∇ ̄;)ハッハッハ
by チヨロギ (2011-07-10 02:29) 

チヨロギ

◇向日葵さん◇
あららー、リアルに寝倒してしまったご経験が!
それはショックだったでしょうね・・・。お察し申し上げます(-_-;*)
わたしも3分の1ぐらいなら寝てしまった経験があります。
これはもうしょうがないですよね、生理現象ですから!(←言い訳w)
今回の作品はだいじょうぶでした。キャストも脚本もすごくよかったので♪
by チヨロギ (2011-07-10 02:30) 

チヨロギ

◇xml_xslさん、コトキャンさん、きむたこさん、
nice!ありがとうございます。
by チヨロギ (2011-07-10 02:30) 

柴犬陸

変わったタイトルだと思ったら、そんな訳があったとは。。。
この芝居、7月末に観劇予定です。
チヨロギさんのレビューを読んで、ますます楽しみになりました。
なかでも、深津さんを舞台で観るのは、KERAの「カメレオンズリップ」以来。
実に7年ぶりのことです。
それがいちばんの楽しみかも。
ところで、観劇中に眠くなることはしょっちゅう。
それも、芝居の前半にかたよる傾向があります。
自分では寝てるつもりがないのに、ふっと意識が途切れて。。。いかん、いかん。
以後気をつけます、はい。
by 柴犬陸 (2011-07-10 23:39) 

びっけ

とっても魅力的なキャストで、しかも漱石物!
チヨロギさんのこの記事を読んで、なおのこと観たくなりました!
友人が当日券で観たよ!というメールをくれたので、私も がんばってみようかな。
☆ 私は子どもにつきあって観たポケモンの映画で爆睡したことがあります。(^^;
by びっけ (2011-07-11 23:30) 

チヨロギ

◇柴犬陸さん◇
なるべくネタバレしないように気をつけたつもりですが、だいじょうぶだったかな?
7月末というと千秋楽に近いですね。
初日が6月6日だったから、2か月近くの長い公演。
なのに連日満席、立ち見まで出ているようですから、さすがミタニンです。( ̄ー ̄)
深津絵里さんを観たのは「春琴」の初演以来なので、約3年ぶりになります。
あのときには深津さんの豊かな声と表現力に感嘆したものですが、
今回もガサツでキュートなアニー(ベッジ)役を、生き生きと魅力的に演じています。かわいいです♡
 > ところで、観劇中に眠くなることはしょっちゅう。
柴犬陸さんもですか、よかったー! わたしも圧倒的に前半に弱いです。
先だってもある芝居で、1幕の半分ぐらい気を失ってました。(笑)
後半は持ち直して、話にはなんとかついていけたのでよかったです。C=(^◇^ ; ホッ
by チヨロギ (2011-07-12 00:59) 

チヨロギ

◇びっけさん◇
お友だちもご覧になったのですね。どんなご感想だったのかな?
当日券、ぜひぜひがんばってみてください。おもしろいですからー♪
びっけさんはご存じかと思いますが、いちおう記事中にも当日券情報を追記しておきますね。
ところで、わたしも映画館で爆睡したことは数知れず。
相手が生身の役者さんじゃないから、緊張感がないせいかなぁ・・・(>▽<;;
by チヨロギ (2011-07-12 01:19) 

チヨロギ

◇こさぴーさん、amaneさん、今造ROWINGTEAMさん、 
nice!ありがとうございます。
by チヨロギ (2011-07-12 01:19) 

チヨロギ

◇ぼんぼちぼちぼちさん、yu-papaさん、
nice!ありがとうございます。
by チヨロギ (2011-07-13 01:24) 

sara

楽しみにしている前日とかって、何故か失敗しちゃって慌てている夢をみたりして。
ハッと気がつき、「夢か~、あー良かった」っていう事が、たまーにありました。(^^)
それだけ、期待が大きいのでしょうね。凄く魅力的な俳優さんが出演されていますね☆ 観たいわあ♪
by sara (2011-07-13 12:24) 

ゆううこ

野村萬斎さん、確か英国に演劇の勉強に行っていた?と
記憶してたんだけど、自分とのことと共感したところもあったのかな?
漱石役、合いそうです。

深っチャンのベッジってあだ名、
結婚する前、ダンナのフランス語の教師が
「テキストをよく見ろ」と
ホニャデプルプレ⇦Regardez de plus pres
とよく言っていたので、生徒たちに「ホニャ」って
言われてたの思い出したw

by ゆううこ (2011-07-14 16:15) 

チヨロギ

◇saraさん◇
遠足の集合時間に遅れて置いてけぼりを食った夢とか、そういえば見たことありましたねー。
これは楽しみだからというより、心配性なのかも。(;´Д`A
「ベッジ・パードン」、キャスト見ただけでわくわくしますよね♪
by チヨロギ (2011-07-14 23:05) 

チヨロギ

◇ゆううこさん◇
そうなんです。萬斎さんは以前、シェイクスピア劇を学びに英国留学していました。
そのときに感じたストレスとか、英国人の差別意識とか、共感する部分も多々あったようです。
あと、彼の留学時のエピソードをそのまま三谷さんが取り入れた部分もあるんですよー♪

「ホニャデプルプレ」(笑)
Regardezの「Re」が「ホ」に聞こえるの、わかるわかるー!
うがいする音みたいな「R」の発音、あれがうまくできたら一人前ですよね。
といっても学生時代。「R」の発音はできたのに再履修くらってました・・・orz
by チヨロギ (2011-07-14 23:07) 

チヨロギ

◇Kimballさん、nice!ありがとうございます。
by チヨロギ (2011-07-19 12:44) 

チヨロギ

◇くらいふさん、nice!ありがとうございます。
by チヨロギ (2011-07-24 11:16) 

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