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あの「白い帯」について考えてみた。 [ひとりごと]

9月10日は「ホワイトバンド・デー」らしい。
東京タワーやら六本木ヒルズやら、全国で「ほっとけない 世界のまずしさ」キャンペーンに賛同するアクションをみんなで起こそうというもの。
http://www.hottokenai.jp/event/910.html

ルースターズさんの記事を読んで、ふだん行き当たりばったりに募金などをしている自分への反省も込めて少し考えてみました。

いまさら説明するのもなんですが、ホワイトバンド・プロジェクトとは、

3秒に1人、子どもが貧困から死んでいます。食べ物がない、水が汚い、そんなことで。この状況を変えるには、お金ではなく、あなたの声が必要です。貧困をなくそう、という声を表すホワイトバンドを身につけてください。(「ほっとけない世界のまずしさキャンペーン」公式HPより)

「ほっとけない世界のまずしさ」は、グローバルな貧困根絶キャンペーン(Global Call to Action Against Poverty -- G-CAP)の日本キャンペーンで、 世界のキャンペーンと連携を取りながら活動しています。(同公式HPより)

といった趣旨に基づく活動であり、それに賛同するという意思表示のシンボルが、いま相当な勢いで売れているらしい「ホワイトバンド」です。

この「意思表示」という部分が、一般の支援活動とは一線を画するこのプロジェクトのキモでしょうか。
というのも、貧困にあえぐアフリカ諸国には売上げが1円も渡らない、つまりホワイトバンドを買うことは「募金」ではないからです。公式HPによれば、売上げの3割が原価、4割が流通経費で、残った3割がキャンペーンの広報活動と参加NGO団体の活動経費として使われる予定……だそうです。

私自身はホワイトバンドを持っていません。活動の「理念」は理解できますけれども。
ただ、こうしたメディアを巻き込んだビッグキャンペーンは問題を単純化してしまい、複雑な問題から人々の目をそらす危険性もはらんでいるのではないかと思います。たとえば「日本が債権を放棄すればアフリカは自立できる」というような。
実際には借款と贈与の両面から、また資金や技術や人材などさまざまな形で日本は援助活動をしていて、それでも解決できないというところに貧困問題のむずかしさ、根の深さがあるのですが。

あるいは、乱暴な言い方をすれば「このバンドを買ったから、あとはどこかで誰かがうまくやってくれるはず」という、一種のおまじない効果もある。
もちろん何もしないよりは何かをしたほうがいいわけですが、こうした大きなビジネスがからんだキャンペーンの場合、買った側も売上げの最後の1円の使い道までしっかり見届ける義務と責任があるのではないでしょうか。ある運動に「主体的に参加する」というのは、そういうことだと思うのです。

たとえばユニセフに寄付をすると、一定の間隔をおいて活動報告のパンフレットと新たな寄付の呼びかけが送られてきます。3000円あれば○○人の子供に予防接種ができるとか、5000円あれば○○人の子供の学用品が買えるとか、募金額と援助内容の関係が具体的に示されていて興味を引きます。
アムネスティ・インターナショナル日本も、グッズを購入すると定期的に商品カタログとともに簡単な活動報告が送られてきます。
単発的なものとしては、自然災害が起きた時に被災地支援カンパを生協などの団体が募ることもありますし、ミュージシャンたちのライブアクトも同様です。ホワイトバンドプロジェクトでは、募金や寄付は「焼け石に水」というような表現をしていますが、こうした単発的な募金活動にはお金の流れが比較的クリアだという大きなメリットがあります(素性の知れない街角の募金活動は問題外ですが)。

いずれにせよ、自分が関わった援助活動の具体的な実績を知り、継続的に興味を持ちつづけることが大事なんだと思います。いまはホワイトバンドプロジェクトがブームに終わることなく、その興味の入り口の役割を果たしてくれることを願うのみです。


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ルースターズ

>>大きなビジネスがからんだキャンペーンの場合、
>>買った側も売上げの最後の1円の使い道までしっかり見届ける
>>義務と責任があるのではないでしょうか

たかが、¥300ではなくて。
そうやって、見守ることが大切で。
どこかの誰かの良いもん買うための金だったら、バカバカしく
なっちゃうじゃないですか?!(苦笑)
そういうことだと思います。
by ルースターズ (2005-09-07 06:41) 

チヨロギ

ルースターズさん、こんばんは。
この記事を書く前に、公式HPのマニフェストから追加質問集から、
いろいろ読みあさりました。
でも書き手の「顔」が見えてこないんです。
「3秒に1人」のような目を引く言葉ばかり散りばめられていて、
肝心のメッセージや行動目標は恐ろしく抽象的。
募金じゃないことがわかっても、そのお金を使う人を信頼できるなら、
「よし、任せたよ。好きに使いな!」って言えるんですけど。
NGOへの寄付って、そもそもそういう性質のものですからね。

わたしは買っていないですが、100%善意で買った人を知っているので、
このキャンペーンの「事業パートナー」とやらが儲かるだけの結果に終わったら
すごく悔しいです。経過を注意深く見ていきたいと思います。

ともあれ、ルースターズさんの記事が、いろいろ考えるきっかけになりました。
そして勉強にもなりました。
またお邪魔します。ありがとうございました。
by チヨロギ (2005-09-08 01:31) 

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