SSブログ

「決闘!高田馬場」@渋谷PARCO劇場 [theatre]

遅ればせながら、観てまいりました。
三谷幸喜作・演出による初の歌舞伎作品、「決闘!高田馬場」。

とりあえず、ひと言。

おもしろかったです!!

楽しくて楽しくて、130分間があっという間でした。
まだ興奮冷めやらぬ感じで、まとまりのない文章になってしまいそうですが(あ、いつもそうでしたね)、どうかお許しください。

まずストーリーですが、主人公は貧しい浪人の中山安兵衛(市川染五郎)。のちの堀部安兵衛、赤穂四十七士のひとりです。
彼は昼間っから酒びたりで、喧嘩の仲裁をしては礼金を受け取り、また酒代に費やす毎日。安兵衛を兄と慕う大工の又八(中村勘太郎)をはじめ、同じ長屋の住人たちは彼のことを案じながら、何かと面倒をみています。
そんな彼のところへ、昔を知る旧友の小野寺右京(市川亀治郎)が現れます。落ちぶれた理由を右京に鋭く指摘され、言い返すことさえできない安兵衛。さらに、留守中に訪れた叔父の菅野六郎左衛門(松本錦吾)が残していった手紙を読むと、そこには果たし合いに向かう六郎左衛門の覚悟の言葉が綴られていました。
長屋の住人や右京に励まされ、自分の「あるべき姿」にようやく気づいた安兵衛は、決闘の場所、高田馬場へと助太刀に向かうのです。

歌舞伎の素養もなく、忠臣蔵の知識もかなりおぼつかない私にとって、今回の最大のお目当ては『新選組!』で藤堂平助を好演した中村勘太郎さん。安兵衛を慕うあまりに憤慨し、葛藤する又八を生き生きと演じていて、おかげですっかり舞台の世界に入り込んでしまいました。
そして、もうひとりはまってしまったのが市村萬次郎さん。安兵衛の身のまわりの世話をしてくれているおウメばあさん役なんですが、愛嬌たっぷり、お色気(?)もたっぷりで、なんとも怪しい存在感を発揮。歌舞伎役者さんって、ほんとにすごいですね~。

このお芝居、とにかく走る走る。
役者さんたちはもちろんのこと、舞台装置さえも、小さなステージを縦横無尽に走りまわります。
疾走感を出すためにあらゆる工夫が施されていて、その仕掛けにも感動してしまいます。本作品をおもしろくしている要素の何割かは、この舞台装置にあると言っていいでしょう。

私の席は舞台に向かって左のブロック、中央の通路から3列目だったのですが、お芝居が始まってすぐに、ここがすごくラッキーな席であることに気づきました。
キャパシティの小さな劇場の中で、通路はいわゆる「花道」の役割を果たしています。長屋の住人たち、とくに安兵衛と又八は頻繁に、客席左の出入り口から舞台へ、また舞台から出入り口へと、この通路を全速力で駆け抜けていくのです。
勘太郎さんをこんなに間近で見ることができるとは。生きててよかった・・・(泣)

一番のみどころは、役者さんたちの美しさ、かっこよさでした。
背筋のぴしっと通った涼しい立ち姿や、筋肉が躍動するような全力疾走、おなかから響いてくる明瞭で力強い声。
彼らは文字どおり全身全霊をかけて、私たち観客を楽しませようとしていたし、観客もそれを肌で感じ、心から楽しんでいたと思います。
幕が降りたあとも大きな拍手が鳴りやまず、多くの観客がスタンディングオベーションで彼らの極上のパフォーマンスを称えました。
三谷さんが連載コラムで書いていたように、「歌舞伎を観るということは、歌舞伎役者を観るということ」。その醍醐味を、幸運にも私は初めての歌舞伎体験で味わえたような気がします。

このお芝居は3月25日(土)の午後7時より、WOWOWで生中継されます。
うちは契約していないので、相変わらず他力本願で録画してもらう予定ですが・・・。
契約している方、知り合いに契約者がいらっしゃる方。見て損はないと思いますよ~。

いざっ! 高田馬場へ!!


nice!(4)  コメント(15)  トラックバック(1) 
共通テーマ:演劇

nice! 4

コメント 15

たかち

明日っすね!!
今度こそ今度こそ今度こそ!!!!
って、ビデオないぢゃん・・・朝一で買いに行くぞ!
by たかち (2006-03-24 21:26) 

うみのつばめ

そろそろ楽日も近づいてまいりましたが、いい観劇が出来たようですね。
私も舞台が気になっていたので、TBさせていただきました。
三谷さんの連載記事から、あれこれ想像していました。
生勘ちゃん観れてよかったねぇ~^^
またまた誰かにくっついて行く役所なんだ。
市村萬次郎さんの名前が新聞であげられていた理由がわかりました。
三谷さんも古典芸能に触れる機会が持て、歌舞伎関係者も現代劇ファンにたくさん足を運んでもらえて、双方にいい影響を与えた公演となりましたね。
by うみのつばめ (2006-03-24 21:42) 

チヨロギ

>たかちさん 
おそらく再放送はないと思われます。要注意です。
「12人の・・・」の時の二の舞だけは、絶対しないようにね~!!
ただ、そうこうするうちにDVDも発売されるはず。いざとなったらそっちでも!
by チヨロギ (2006-03-24 23:33) 

チヨロギ

>つばめさん 
TBありがとうございます! こちらからもTBさせていただきました。
「生勘ちゃん」、若くてきりっとしてて品があって、かっこよかったです~(^.^)
・・・相変わらずミーハー丸出しで、すみません(苦笑)
萬次郎さんについては、じつは以前仕事でお世話になった方が転職して萬次郎さんのところで働いていて、お名前だけは知っていたのですが、まさかこんなに魅力的な方だとは!
パンフレットの最初に載っているPARCOと松竹双方の挨拶文からは、今後に向けた並々ならぬ意気込みを感じました。つばめさんの言うとおり、おたがいにとって実りは大きかったと思います。また三谷さん、書いてくれないかな?
by チヨロギ (2006-03-24 23:37) 

降龍十八章

安兵衛というと新潟では居酒屋チェーンで有名ですね。たしか新発田の出身だったような・・・
by 降龍十八章 (2006-03-25 00:00) 

チヨロギ

降龍さんは新潟ご出身でしたね。
そうです、安兵衛は越後国・新発田藩の生まれですよ~。
溝口信濃守の家来だった父が死亡した後、若くして江戸へ出て、剣術の腕を磨いたといわれています(←注:パンフレットの受け売り)。
by チヨロギ (2006-03-25 00:58) 

降龍十八章

歌舞伎はきらいではないのですが、歌舞伎役者がなぜかきらいなんですよね。歌舞伎役者そのものでなくて、今いる(テレビにでている)役者がきらいなんです。伝七親分の梅之介だけが唯一のファンです。
能と狂言、歌舞伎については、この前、逆説の日本史でおもしろい発見があたので近いうち記事にするのでどうぞおいでください。
by 降龍十八章 (2006-03-26 00:26) 

柴犬陸

チヨロギさん、羨ましい! 実に羨ましいです。
どうしたらチケットが取れるのですか?(私はこのところ、チケット全滅です)
と、恨みはこのくらいにして。。。
ホントは生のお芝居を観たかったのですが、さっきからwowowを録画し、かつ観ておりました。
途中でチャンネルを変えたので、あとでゆっくりとまた観ることにします。
とにかく、羨ましい!
by 柴犬陸 (2006-03-26 01:03) 

チヨロギ

>降龍さん 
今回の出演者は(染五郎以外)ほとんどテレビではお見かけしない方ばかりだと思うのですが、だったらセーフということかなー? いずれにせよ、歌舞伎役者はやはり本業の舞台で一番輝くのかもしれませんね。
そういえば右京役の市川亀治郎さんって、一瞬梅之助さんに似てるかも。彼は女役も含めて三役を早変わりで演じていて、娘役はなかなか可愛いです。
ちなみに私は子どものころ、伝七親分(梅之助)がチョー苦手でした。そもそも時代劇ぎらいというのもあるんですけれども。
by チヨロギ (2006-03-27 00:20) 

チヨロギ

>柴犬陸さん 
WOWOWはもうご覧になったでしょうか?
「開演前に三谷さんとの前説がある」と亀治郎さんのブログに書いてあったので、とても気になってます。早く録画を手に入れねばー。
チケットは、プレオーダーの厳正なる抽選の結果、運良く当たってしまいました。すみません!
このところくじ運がいいみたいで、自分でもちょっとコワイです。そのうち何かが起きる・・・?
by チヨロギ (2006-03-27 00:27) 

チヨロギ

茅ヶ崎住人Rさん、nice! ありがとうございます♪
by チヨロギ (2006-03-27 00:29) 

柴犬陸

wowow、面白かったです!!!
じっくり観ました。
勘太郎さんが、セリフを間違えたら、それを染五郎さんがつっこんだりして。
イナバウアーとカーリングは知ってたけど、その日だけのアドリブもそれなりに面白かったでしょうね。お芝居の醍醐味味わいました。
by 柴犬陸 (2006-03-29 18:44) 

チヨロギ

柴犬陸さん、WOWOW楽しまれたようで何よりです!!
(わたしはまだ頼んだ録画を受けとっていないんですけど・・・)
三谷さんは毎日会場に来て、セリフや演出に少しずつ手を入れていたという話なので、どこまでがアドリブなのかわからないんですが、とにかく笑いっぱなしの楽しい130分でした。
こっちでお芝居しているのに、陰で小ネタをやっている勘太郎さんやら附け打ちさんやら、観るほうも大忙し。早く録画で隅々までじっくり観たいです~。
by チヨロギ (2006-03-30 00:11) 

降龍十八章

歌舞伎も時代劇ですよー。
梅之助(介じゃなかったですね)はなんといっても遠山の金さんで、虜になりました。
by 降龍十八章 (2006-03-31 10:00) 

チヨロギ

降龍さん 
そうですよねぇ。だから歌舞伎も、一度も観たことがありませんでした^^
渡哲也版『浮浪雲』だけは毎週楽しみに見てました! 谷啓さんも出てたし、笠智衆さんもよかったなー。・・・え、あれは時代劇じゃないって?
by チヨロギ (2006-04-01 01:19) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。