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「こうもり」と「告別」 [身辺雑記]

先日、 叔父のお葬式がありました。
彼は長いこと開業医をしていたので、親戚の者にとっては何かと頼りになる存在でした。
ここ何年かは免疫機能に関わる難病にかかったせいで、ほぼ開店休業状態ではありましたが。

叔父は母方の親戚、正確に言うと「母の妹の夫」にあたる人です。
うちの母は4人姉妹なんですが、叔父が入院先の病院で亡くなったと知らせを受けたその日から、姉妹間の電話連絡が忙しいこと忙しいこと。
うちの電話は常時接続か?! と呆れるくらい、ひっきりなしに電話が鳴り、切っては別のところに電話をかけ、その合い間にまた姉から連絡が入るという具合。
その連絡内容はというと、喪服はスカートにするかパンツにするかとか、お花代はいくらにしようとか、スタートの何分前に着けばいいかしらとか、はっきり言って長電話するほどの用事ではないんですけど・・・。
とにかくきょうだい・親戚に何かコトが起きると、にわかにがっちりと結束が固くなるおばさんたちなのであります。

ただでさえバタバタしているのを、さらに忙しくしたのが母の喪服問題。
最近むくむく太ってきたせいで、持っている喪服のサイズがどうにも合わなくなっていたのです(じつは私もかなりヤバイ状況でしたが)。
あわてて会社帰りに待ち合わせて喪服を買いに行き、パンツの丈詰めを超特急でお願いして、どうにかお通夜の前日に受けとることに。

これで間に合ったー、と思ったら、告別式の日、また母がやらかしてくれました。
電車が目的地に着くころになって、

「どうしよう! 喪服の上着を着てくるの忘れた・・・

インナーの上に直接コートを羽織ってきてしまったらしいんです。
まったくもー、なんてお間抜けな母なんでしょうか。
まあ、途中で合流した姉の上着を借りて、事なきを得たのですけれども。
(姉のほうは少々薄着ながら、見た目には無問題でした。やれやれ)

 

++++

 

叔父の葬儀は、無宗教式による音楽葬でした。
医者をするかたわら画家でもあった叔父は、独特の価値観を持っていて、生前から自分の葬儀はこんなふうにしたいというイメージをいろいろと家族に伝えていたようです。つまり、この葬儀をプロデュースしたのは、ほかならぬ叔父自身でした。
そのひとつが、宗教儀礼を一切行なわない「別れの会」にすること。
「無宗教式というのはけっして宗教を拒むものではなく、逆にすべてを受け入れるもの」という喪主の言葉どおり、参列者は思い思いのやり方で献花をし、棺の中の叔父に語りかけ、別れを惜しみました。

もうひとつが、自分のお気に入りの音楽で見送ってもらうということ。
無宗教にするとお経や讃美歌が流れないので、一般にも音楽葬とセットにする例が多いようです。

叔父が選んだのはこの2曲。

J.シュトラウスII:喜歌劇「こうもり」(全曲)

J.シュトラウスII:喜歌劇「こうもり」(全曲)

  • アーティスト: カラヤン(ヘルベルト・フォン), フィルハーモニア管弦楽団, フィルハーモニア合唱団, シュワルツコップ(エリザベート), ゲッダ(ニコライ), クレプス(ヘルムート), シュトライヒ(リタ), デンヒ(カール), J.シュトラウス
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 1999/07/23
  • メディア: CD


ヨハン・シュトラウスII世の喜歌劇「こうもり」と、

マーラー:交響曲 大地の歌

マーラー:交響曲 大地の歌

  • アーティスト: ワルター(ブルーノ), ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団, フェリアー(カスリーン), パツァーク(ユリウス), マーラー
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2000/09/30
  • メディア: CD


グスタフ・マーラーの交響曲「大地の歌」から、「告別」です。

とくに「こうもり」への思い入れは強かったようで、遺作となった叔父の絵も、このオペレッタからインスピレーションを得たものだとか。
私自身は歌劇方面にまったく疎いので、ちょっと調べてみました。
シュトラウスII世のオペレッタの代表作「こうもり」は、仮装舞踏会の帰りにこうもりの扮装のまま酔いつぶれて置き去りにされ、恥をかいた男が、友人にその仕返しをするために罠を仕掛けるというお話。浮気やら勘違いやら大騒ぎをした挙げ句のハッピーエンドという、なんともにぎやかそうなオペレッタです。
ぴりっとした皮肉とユーモアと、いいところもダメなところもひっくるめて人間なんだよという大らかさと。つくづく叔父らしい選曲だなぁと思ったのでした。

 

++++

 

[勝手に桜前線]

先週はあんなに寒かったのに、もう仕事場(@四谷某所)では窓際の桜がピンク色。

 

近所の枝垂桜(@千葉県某所)は早くも見ごろです。


タグ: 音楽葬 告別
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携帯から [身辺雑記]

雲間からほんの少し日差しが届いたぶん、今日は寒さがちょっとだけ和らいだ気がします。
近所のお寺の枝垂れ桜はちらほら咲き始めました。桜のほうはつぼみが薄緑色です。
でも夜はまた冷え込むんでしょうね。ブルブル。

数日前、親戚に不幸がありまして、PCに向かう余裕がなく、いま携帯から投稿しています。
前記事にコメントを書き込んでくださった方、nice!を押してくださった方、ありがとうございます。
お返事が遅れて申し訳ありません。
落ち着きましたら(すぐに落ち着くと思いますが)、早くみなさんのところにも遊びに行きたいです。
やっぱりブログ依存症かなー(笑)。
というわけで、すみません。ではまた。


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夜道に光る物体 [身辺雑記]

ある日の会社帰り、交差点で信号が変わるのを待っていた。
時間は夜10時ごろ。
向かい側では夜間工事が始まった道路を、真っ白な投光機が煌々と照らしている。

 

信号が青に変わり、横断歩道を歩きだす。
近づくにつれて、まばゆい光の中に、何か模様のようなものが見えてきた。

 

 

ん? これは・・・。

 

サッカーボールだ!

 

夜間道路工事業界に、いったい何が起きているのか。
憎まれっ子イメージアップ作戦? それとも何かの使いまわし?

 

ネットで調べてみたら、ありましたありました。

「街の安全を明るく照らす ライトボーイ」

ライトボーイ》というのは、投光機メーカーの名前。
そこの製品情報の「デザインバルーン」のラインナップに、あのサッカーボールもちゃんとある。
使用例はこんな感じ。

 「ライトボーイ」ホームページより(以下同)

さすがにサッカー場だと違和感がない。それがなぜ道路工事現場に?

 

ほかにもいろいろ変な・・・いやユニークな投光機が紹介されていた。




ピンクの「ぶた」。ほかに「うさぎ」や「ふくろう」もある。




これからのお花見シーズンに活躍してくれそうな「のんべえ」。




ご親切に2サイズそろっている。わたしはMサイズで充分でございます。いやほんとほんと。


にわかに戻ってきた冬の寒さで、お花見は当分、お預けになりそうだけど・・・。

 

++++++++

 

[今日のお気に入り]

エチカ表参道の《OMO KINOKUNIYA》で買ってきたフィンガーチョコ。
すごくおいしいんだけれど、いつもすぐ売り切れてしまう。
で、今回は欲張って2袋購入してしまいました。フフフ。


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「学校、辞めることにしました」 [身辺雑記]

このタイトル、内容とはまったく無関係です(笑)
梨花さんのところ》で思わず拾ってしまった“地雷バトン”なるものに、おもしろそうなので答えてみました。
以下、色つきの文字が流用部分です。


[バトンのルール]
・見たらやる。タイトルを「学校(仕事)、辞めることにしました」に設定する
・地雷バトンです。見たらスグやるバトン←これ重要
※見た人は、必ずやること、今すぐやること

 

■好きなタイプを外見で答えよう!
SWITCH Vol.20 No.10 (OCTOBER 2002)有名人でいうと奥田民生。洋モノでは元Bay City RollersのIan Mitchellの若いころ(わかりませんよねぇ)。あとデビュー当時の近藤真彦。高校時代、少々追っかけをしておりました(^▽^;)
共通点は丸顔で童顔、仔犬っぽいところですね。体型は多少ふくよかでも一向に構いません(笑)

 

■年上が好き?
男女を問わず、同年代の人よりも、年上の人のほうが気楽に話せるような気がします。
むしろ、初対面の人が同い年だと緊張したりして。

■財布はどんなの使ってますか?
↓こんなのです。

愛用していた黒革の財布が壊れてしまい、去年伊勢丹で購入。茶色とピンクの配色が気に入ってます。

■携帯電話はどんなのを使ってますか?
↓これです。

今はなきボーダフォンのロゴ入り携帯。調べてみたら、なんと3年も使ってます! そのうち骨董的価値が出てこないでしょうか??

■携帯ストラップは?
上の写真参照。たしか抽選で当たったボーダフォンのストラップです。これがまた、丈夫で長持ちなんですよねぇ。

■手帳って持ってますか?
↓ほぼ日手帳を使っています。

中身は字が汚くて、とても見せられたもんじゃありませんが(>.<)

■バッグはどんなのを使ってますか?
↓こういうバッグです。

ほぼ日手帳のカバーみたいな、軽くて丈夫なナイロン製。A4サイズまで入ります。

■[バッグ]の主な中身は?
外側のポケットに定期入れ、携帯音楽プレーヤー、予備の買い物袋。
ふたを開けたところのポケットにハンカチ、ティッシュ、チョコレート、グミ、コンタクト用目薬。
内部の仕切りにカードケース、キーホルダー、ライター。
そしてメインのところには、手帳、ペンケース、本、化粧ポーチ、財布、デジカメが入ってます。
仕事のない日はペンケースは持たないけど、それでもけっこう重い・・・。

■星に何を願う
All the people living life in peace.
(Imagineより)

■もしクレヨンに生まれ変わったら、何色が良い?
真っ先になくなるのも最後まで残るのもさびしいので、無難に「青」あたりで。

■好きな曜日
木曜日。週の半ばをちょっとだけ過ぎた感じが、なんかうれしい(笑)

■最後に見た映画は?
「それでもボクはやってない」。
うっかり者なので、観ようと思ったときにはすでに終わっていた・・・なんてことばかり。この映画は間に合ってよかったです。

■怒ってる時にどうする?
無口になります(-_-)

■お年玉何に使う?
えーと、あげる一方なんですけど。
もし誰かがお年玉をくれたら、何かおいしいものを食べに行きます!

■夏か冬どっち?
冬。今年は東京に雪が降らなくてさびしいです。
夏は冷房のきいた部屋に引きこもりたい。とにかく暑いのはイヤだー(T_T)

■最近泣いたのはいつ?なぜ?
うーん、いつだろう? 梨花さんと同じく、本でもドラマでもすぐに涙腺がゆるんでしまうので、かえって思い出せないです。

■ベッドの下に何がある?
いろいろ隠し持ってます(笑)
ふだん使わないカバンとか、昔の教科書とか、愛着があって捨てられないファミコンとか。
ときどき、飼っているカメが奥地にもぐり込んで行方不明になります。

■昨夜何をした?
残業しました(-"-)

■好きな車は?
免許を持っていないので、車のことはさっぱり。
見ため的にはローバーミニみたいなかわいいのが好きです。乗ったことないけど。

■好きな花は?
山や高原に咲く花。野生のリンドウとか。

■エビ?
は?
・・・蛭子能収?


++++++++


こんな感じで勘弁してもらえますでしょうか~?>梨花さん

わたしからみなさまにバトンを強制したりはしませんので、ご安心を(笑)
あえて地雷を踏んでみたいという方は、どうぞご自由にお持ち帰りくださいませ(^^♪


タグ:バトン

デッドヒート未満 [身辺雑記]

会社に出る日は可能なかぎり毎朝、駅までの道を歩く。
距離にして2キロぐらい、およそ20分弱の軽ーいウォーキング(ということにしておこう)。
歩くのはただのバス通りだから、大していい景色が見られるわけではない。それでも宿場町だった名残で庭の広い家が多く、手入れされた庭木が季節感を醸し出している。
いまだったら満開の黄色い蝋梅や、白木蓮の白い毛に覆われたつぼみ。
ほかにも名前を知らない花や、晴れた空を見上げながら歩く片道20分の道のりは、それなりに幸せな時間だ。

そんな至福の時が、最近微妙な状況に。
まったく同じ時間、同じルートをウォーキングするおじさんが出現したのだ。
彼は中肉中背で白髪頭、年齢は50代半ばぐらい? いつもラフな格好をして、背中には黄色いリュックを背負っている。
(仮にリュック氏としておきます。)

困ったことにこのリュック氏、歩くスピードがこっちとほとんど一緒。ちょっとがんばって追い越しても、そのまま突き放すことはできないし、かといって前方を歩かれるとおもしろくない。
というのも、リュック氏はときどき歩きタバコをするからだ。
喫煙者にはきわめて寛大な私だけど、歩きタバコは別。せっかく気持ちのいい朝に、ケムリと灰を浴びながら歩かなきゃならないなんて、絶対にイヤだ。
じゃあ道路の反対側を歩けばいいのに、と思うでしょ。ところが、左側を歩くと丁字路にぶつかり、信号に余計に引っかかる。その時間が惜しいので、私もリュック氏も右側を歩きたいんである。
なんともはや、せこい争いだ。

しかしこんな競争をしていたら、まるで何年か前の三菱自動車のCMではないか。
あのCMでは、初老の男性と若者が、駅までの道を歩きながらデッドヒートを繰り広げていた。
レースの終盤、初老の男性が抜け道を使って若者を出しぬき、してやったりとニンマリ微笑んでいると、後ろから来た若い女性が颯爽と二人を抜き去っていく。
あのCM、おもしろかったなぁ。

・・・CM的には好きだけど、あれを実地でやるのはしんどい。

そこで考えた。マラソンレースでよく、第一走者の後ろにぴたっとついて走る人がいる。前の走者を風除けにして、力を蓄えながら走り、最後に追い抜くという姑息なワザ。
まあ、力を蓄えるほどの距離はないんだけど・・・。

ものは試しで、リュック氏の1メートルぐらい後ろを歩いてみた。距離をキープしてつかず離れず、信号待ちで立ちどまってもけっして追い抜かない。約20分、ひたすらガマンして二番手を行く。

翌朝。その戦法がよっぽどうっとうしかったのか、リュック氏は遠くからこっちの姿を認めると、そそくさと道の反対側に渡っていった。よっしゃー。

こうしてふたたび、プチ幸せな朝のひと時を取りもどしたのでした。おわり。

++++++++

[今日のおやつ]

最近のお気に入り、《アンリ・シャルパンティエ》のトランザット。

さっくりしたシューの中に、軽いカスタードクリームがたっぷり。パッションフルーツのピューレ入りキャラメルと、プラリネ・ノワゼットが味を引き立てています。(ホームページより)

ちょっと高級感のあるエクレア、という感じ?


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100,000pv御礼 [身辺雑記]

本日(1月10日)午後2時過ぎ、本ブログの総閲覧数が10万を超えました。

 

ジャスト100,000のタイミングを狙って、仕事中にこっそり管理ページを開いたのですが、惜しい!
(あっ、ちゃんと仕事もしてますからー

これといって売りもなく、このようにスローペースなブログではありますが。
何かの縁でここにたどり着き、閲覧してくださったみなさま。
ほんとうにありがとうございます(^.^)
これからも、どうぞごひいきに。

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こういう機会もなかなかないので、記事管理画面をエクセルにコピーして、過去記事の閲覧数ランキングを調べてみました。

・・・驚きの事実が発覚。

    1位: チョコレートもらいましたが・・・(3,389pv)

これ、3,389のうち少なくとも3,000はスパムだと思います(涙)
この記事は一時期、コメントスパムの集中攻撃を受け、やむなくソネブロユーザー以外のコメントを閉じてしまったのです。
なんだか過剰申告してるような気分になってきた・・・orz

気をとりなおして、次に行きます。

    2位: 斎藤美奈子~ナンシー関を読む (1,524pv)

敬愛するナンシー関さんと「木村拓哉の鼻毛」について書いた記事(?)ですが、これもたしかスパムがよく来ていたような・・・。またも水増し請求か?!

疑いだすときりがないので、あとはささーっと。

    3位: オリジナルスキンへの道・苦闘篇(&完結篇?) (1,271pv)

    4位: 「土方歳三 最期の一日」、撮影開始 (1,222pv)

    5位: 液晶モニター故障&復活 (938pv)

    6位: 手帳とカレンダー・2006 (847pv)

    7位: 「THE 有頂天ホテル」:なんとまあ、贅沢な (811pv)

    8位: 三百人劇場へ (721pv)

    9位: 巨大化したクサガメのゆくえ (623pv)

    10位: タンゴ・冬の終わりに@シアターコクーン (602pv)

大好きなレイ・ブラッドベリ網野善彦さんのことを書いた記事は、残念ながらランク外でした。
まあ、そんなものですよね^_^;

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疑惑の水増し閲覧数解明のため・・・というのは冗談ですが、いったいどんな検索ワードでここにアクセスしてくださるのかなぁと思って、「トラックワード」というのを貼りつけることにしました。
そのページがどんなキーワードで検索されているかを表示してくれるそうです。

詳細は、こちら。→ http://www.trackword.net/indexabout.phtml

 


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迷宮入り [身辺雑記]

先週の何曜日だったか、一日の仕事を終えてボスと一緒に職場を出たところで、背広を着た白髪のおじさんに呼びとめられた。

「すみません、この近くにスポーツクラブはありませんか」

超人並みに方向音痴な私でも、そのスポーツクラブなら知っている。だって毎日その前を通るから。
名前は知らないけど、ビルの半地下にある隠れ家っぽいスポーツクラブ。知らない人には簡単に見つかりそうもない。
駅に行く通り道なので、「案内しましょう」と3人で歩きだした。

2、3分後、ビルの前に到着。
するとおじさんは、手書きの地図を見ながら首をかしげている。

「この後ろに○○倶楽部というのがあるはずなんですけど・・・」

一緒に地図を見ると、このビルを含めた大きな一画のまんなかに目的の建物があるらしい。
ただ、ビルの右も左も隣地の塀とぴったりくっついていて、通り抜ける道がないのだ。

まあ、だいたいの位置はわかっているので、別の道を探して角を曲がってみる。

・・・ない。

けっこう大きな一画なのに、ビルや一軒家やマンションがびっちり詰まっていて、どこにも抜け道がないのだ。さすが江戸時代からの密集市街地! なんて感心してる場合ではない。

さらに角を曲がってみた。○○倶楽部をはさんで、スポーツクラブのビルとはちょうど反対側の通りに出たけれど、やっぱり入り口はなかった。
そこに確実にあることはわかっているのに、どうしてもたどり着けない。まるでカフカの『城』だね、と半分本気でボスが言った。

同じ通りを何度も行ったり来たり。3人で15分ぐらいさまよったところで、ついにギブアップ。
おじさんは別れ際に、しきりと恐縮していた。
おじさんが悪いわけじゃないのにね。

****

翌朝になって、道はあっけなく見つかった。
スポーツクラブより手前の、庭にみごとな桜の巨木がある豪邸と、いつも野良猫が出入りしている古びたアパートとの間の道。
曲がり角にはご親切にも、「○○倶楽部」と書かれた小さな看板まで立っていた。

それにしても不思議なのは、小さな看板はもちろん、豪邸とアパートの境界線さえ前夜は消えていた(ように見えた)こと。
あの近くて遠い城の中に、おじさんは無事たどり着けただろうか?

 

城

  • 作者: フランツ カフカ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1971/04
  • メディア: 文庫


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秋のお務め [身辺雑記]

関東地方はこの連休中、雨の心配がない日は今日(16日)だけ。
ってことで、お彼岸には早いですが、お墓参りに行ってきました。

春のお彼岸以来、約半年ぶり。夏を越しているので、大変なことになっているはずです。
雑草は鬱蒼と生い茂り、墓石は鳥のフンにまみれ、虫やナメクジは異常発生し……。

そんな最悪の事態を想定し、装備は万全です。

左から、虫除けスプレー、ミニ熊手、剪定ばさみ、害虫駆除剤、鎌、軍手。

 

幸い、鳥のフンもナメクジの大量発生も、今年はありませんでした。
とはいえ、近くに大きな木や緑が多く、大量のやぶ蚊に襲われるこの時期。
虫除けスプレーは必須アイテムです。
両手、両足、首筋と、肌が少しでも露出している部分には念入りにスプレー。
植木には害虫駆除剤をスプレーして、先手必勝! あ、やぶ蚊には全然効き目ないんですけどね。

それから軍手をはめ、一人は伸びすぎた植木の枝をばっさばっさと切り落とし、
一人は生い茂った笹とドクダミを、鎌でざくざく刈っていきます。
最後に大量の落ち葉を熊手でかきだして、任務完了であります。

ちなみに、この鎌と熊手は百均で購入。小さくて軽くて、意外と使える優れものです。 

 

仏教ではないので、お線香立てがありません。
代わりと言っちゃあ何ですが、故人(父)の好きだったショートピースを供えています。
右と左に一本ずつ、火をつけたタバコも。
(ちゃんと火は消して帰りますよ~)

====

無事お務めを果たして家に帰ってきて、はたと気づきました。
お墓の前でいっぺんも手を合わせていないことに……。
これじゃあ「お墓参り」じゃなくて、ただの「墓掃除」ではないですかー!!
軽くショックです……(涙)


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不思議なこと [身辺雑記]

ゆうべ、不思議な体験をした。

なかなか仕事の区切りがつかず、やっと寝床に入ったのが深夜2時すぎ。

寝つきはすばらしくいいほうなので、あっという間に意識が遠のいていく。

・・・苦しい。

胸から首のあたりと、布団から少し出た両手が、強く押さえつけられているような気がする。

体を動かすと、さらにのしかかってくる感じ。

もしかして、これがあの有名な「金縛り」ですか?!

こちらの手をギューッと押さえつけてくる、何者かの手の感触があまりにもリアルだ。

声も出せないし、何しろ苦しくてたまらない。

よーし、思いきって目を開けるぞー!

・・・・・・

うそみたいに体が軽くなった。

時計を見ると、寝床に入ってからまだ30分も経っていない。ずいぶん長かった気がするのに。




金縛りについて調べてみた。
 

金縛りは、医学的には「睡眠まひ」という生理現象だ。睡眠中は、脳が休む深い眠り「ノンレム睡眠」と、浅い眠り「レム睡眠」が交互に訪れ、一晩に数回繰り返される。

普通はノンレム睡眠が先行するが、2度寝や疲労で睡眠のリズムが乱れると、いきなりレム睡眠に陥る。体は眠っているのに、脳の一部だけが活動した状態になる。体を動かそうという意思があっても、体には伝わらない。この時、金縛りや幻覚が起こりやすい。

レム睡眠時は心拍数や呼吸が乱れるため、胸の圧迫感をおぼえることも多い。「人が乗っている」と感じる理由だ。(《2005.4.28 読売新聞》より)


体はすぐ熟睡していたのに、脳だけ寝つきが悪かったわけだ。ふむふむ。

生まれて初めての金縛り体験だったけど、「人間の脳って、すごい!」と感心してしまう。

考えてみれば、人が見て、聞いて、感じることは全部、脳の中で起こっている出来事。

何が現実で何が幻かなんて、誰にも確かめられない。

その気になれば脳は、いまここに存在していない何かを

本物以上に精巧に創りあげることができるのだから。

だって、あの押さえつける手の感触。指の一本一本に至るまで、異常に生々しかった。

今夜はちゃんと眠らせてほしいです・・・。




不思議なことといえば。

ブログのサイドバーにいるポストペットの「カメラ」から、わたしあてにメールが届いた。


「オヤ問題」

ひよこは生まれて初めて見たものを
親と思ってしまうらしい。
○○はワタシの親なのでしょう?

なあんて、そんなわけないこと分ってますよ。
カメラがそんなに単純なわけないじゃないですか。


ペットから手紙が届いたのは、これで2度目になる。

ウェブメールで初めてポストペットを飼った初心者なので、こんなイベントがあるとはつゆ知らず、

初めてメールが届いたときはびっくりするやら、うれしいやら。

バーチャルなペットなのに、急にいとおしくなってしまった。

 ←整理整頓が苦手。飼い主も。

 

ちなみに、1通目の手紙はこんな文面だった。


「こんにちは」

気づいたらここにいたので、
メールを書いてみましたよ。
???
ワタシはカメラです。
ずっと前からこんなことしている
気がするけれど、うろおぼえです。


少しは飼い主との距離が縮まっているのかなぁ?


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閑さや・・・ [身辺雑記]

ベランダの縁に、今年の夏初めての小さな来客が。

羽が褐色のまだら模様をした、体長3~4センチのかわいらしいセミである。

あいにく昆虫少年ではなかったので(っていうか少年じゃないし)、
姿かたちを見ても何ゼミだかわからない。

あちこち調べてみて、一応ニイニイゼミと断定してみた。

ニイニイゼミといえば、松尾芭蕉が山形の立石寺で詠んだ一句、

「閑さや 岩にしみ入る蝉の声」

のセミとされている。

こんなコンクリートのベランダでは、セミも居心地が悪かろうに。

 

その3日後、近所の庭先で発見。

今度はセミの抜け殻である。これは少し大きいので、ミンミンゼミかな?

 

そういえば、今年の夏はまだセミの声をあまり聞いていない。

2週間ぐらい前、フライング気味のミンミンゼミが一匹だけ孤独に鳴いていたが、
そのあと急に気温が下がって、鳴き声をほとんど聞かなくなった。

真夏のアブラゼミの大合唱は、聞いているだけで暑くなるから苦手だけど、
こう静かすぎるのも変な感じ。

夏が来るのか来ないのか、地中のセミも判断に迷ってるんだろうか。


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