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三谷幸喜イヤー・コンプリート [theatre]

先週の初め、パルコ劇場で「90ミニッツ」を観てきました。
(今週はシアタートラムで「その妹」を観たのですが、それはまたの話。)

キャストは西村雅彦と近藤芳正。あの「笑の大学」(舞台版)の2人です。
残念ながら上演当時(1996年、98年)は三谷さんの舞台に縁がなく、DVDでしか観てないんですけど、この2人のコンビがふたたび三谷作品にとなれば、期待しないほうが無理ってもんです。

今回の舞台は、ある大学病院の一室。
交通事故に遭った9歳の少年が運び込まれ、緊急手術をすれば命が助かる状態でありながら、父親は信仰上の理由で承諾書にサインをしようとしない。
なんとか彼を説得しようとする整形外科医(西村雅彦)と、輸血を伴う手術を拒む父親(近藤芳正)との激しいやりとりは、妥協点を見出せないままに時間が刻々と過ぎていく。
「90ミニッツ」=90分とは、少年の命を救う決断をするための、ぎりぎりのタイムリミットなのです。

コメディ的要素を封印し、場面転換もなく、どんでん返しもカタルシスもない舞台。
何度も攻守入れかわっては堂々巡りをする2人の議論の行く末だけが、物語を推し進めていく力となっているのですが、そのテンションがだんだんこっちにも乗り移ってくる感じ。
すっかり心拍数が上がってしまいました。

テーマがテーマだけに、内容は賛否両論あるようですけど、価値観をめぐる議論に勝ちも負けもないし、世の中に絶対的な正しさなんてない。その意味ではリアルな作品だったと思います。
価値観の違う隣人とわかり合うのはむずかしいけど、それでもなんとか共存していくしかないんですよね。
とても見ごたえのある、おもしろい舞台でした。



2011年は三谷幸喜生誕50周年を祝う「三谷幸喜大感謝祭」ってことで、演劇・映画・テレビ・小説合わせて7本の新作が発表される年でした。(詳しくは、こちらなど → 「演劇ライフ」記事
どうやら小説だけは執筆が間に合わなかったようですが、残り6本はこの「90ミニッツ」で終了。
わたしもどうにかチケットがとれて、無事6本コンプリートしました。(あっ、ドラマはまだ録画を観てなかった・・・)

新作舞台4本のうち、唯一ブログにUPできなかったのが「国民の映画」。
ナチス・ドイツで宣伝省大臣を務めたゲッペルスと、彼をとりまく映画人たちの、戦争と芸術をめぐる物語です。
小日向文世はじめ、段田安則、風間杜夫などキャストも魅力的で、深く余韻の残る作品でした。
ただ、これを観劇したのは3月17日。
まだ首都圏では余震が多く、電車のダイヤも大幅に乱れ、安全上の理由で公演を中止する劇場も数多くありました。
そんななか、どうにかたどり着いたパルコ劇場では、開演直前に三谷さん本人が舞台に登場し、観客にあいさつをしたのです。(全文は、こちら → PARCO劇場公式ブログ

「こういう時だからこそ、劇場のあかりを消してはいけないんだと、僕らは思いました」
この言葉にどれほど力づけられたことか。
迷ったけど、来てよかったと思いました。



文章ばかりじゃさびしいので、少しばかりランチ写真を。
しかしパスタばっかり食べてるなぁ。


下北沢「ラ・ベファーナ」のパスタランチ(ナイロン100℃「ノーアート・ノーライフ」観劇前に)。
写ってないけど、ドレッシングたっぷりのサラダやラザニアもおいしいです。




三軒茶屋「イル・ピッツァイオーロ」のパスタランチ(シス・カンパニー「その妹」観劇前に)。
パスタはもちろん、温野菜が美味! おみやげにお菓子までいただいてしまいました。



たぶん、この記事が今年最後の更新になると思います。
ではでは、みなさんよいお年をー♪


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最初で最後の [ソライロアサガオ便り]

11月9日の朝のことでした。

窓ガラス越しに、何か青いものが。



ソライロアサガオの花が咲いていたんです。



以前もこの時期にアサガオが咲いていたことはありました。
でもそれは、盛りの夏からたくさんのつぼみをつけ、秋を迎えても咲きつづけてきた元気な苗の話。

今回のアサガオは、今年最初の開花です。
そして、たぶん今年最後の花。

去年採れた種は充分成熟したものがなく、やっと発芽した唯一の苗は、夏のベランダの酷暑に耐える力がありませんでした。
小さなつぼみをやっとつけたところで本格的な暑さが来て、つぼみは熱とハダニで全滅。
葉っぱも次々と落ちて、支柱のてっぺんまで伸びたつるは、半分以上が茶色く枯れてしまいました。

10月にようやく涼しくなったころ、新しい葉っぱがちらほら。
つぼみもいくつか大きくなってきました。
でも、花を開くだけの力が残っていなかった。

だからこのアサガオは、2011年の代表選手です。
花は小さいけど。



開花して3日目。



もう、花びらを閉じる力も残っていなくて。
このかたちのまま、しおれて枯れていきました。

よくがんばったね。


清水ミチコ TALK&LIVE 2011 [music]

月が替わってしまいましたが、半月ほど前、清水ミチコのライブを見てきました。去年の世田谷パブリックシアターに続いて2回目です。
今回はぐっとローカルに、松戸市民会館。てっぺんに小さなプラネタリウムがあるんですよー。入場料52円の。
松戸市出身の元宇宙飛行士・山崎直子さんも、子どものころに通ったんだそうです。
この山崎さんと同じ小学校を卒業したというのが、わたしのプチ自慢でございます。<( ̄- ̄)>

千葉県ってことで、ミッチャンによる「千葉県あるある」ネタを少しご紹介。
  • 小学校の社会科見学は醤油工場だった
  • 給食に「みそピー」が出る
  • 「ジャンケンポン」を「チッケッタ」と言う
  • 運動会では「なのはな体操」をする
  • ゆるキャラのチーバくんはいい感じだと思っているが、知事を見ると不安になる
  • 常磐線各駅停車を千代田線だと言い張る
  • 初めて飲んだコーヒーはマックスコーヒーである

県民の方、いかがでしょうかー。
ちなみにわたしは、みそピー・なのはな体操・マックスコーヒーは×。それ以外は見事に当てはまります。
どっぷり県民だなぁ( ̄ー ̄;

TALK & LIVEのTALKとして、冒頭はラジオパーソナリティの荻野真理さんとの対話形式でした。
この荻野さんの彼氏の名前を聞いてびっくり。
なべやかんですよ。替え玉受験で有名な。(←荻野さんがそう言ったんです~)
ミッチャンのつっこみと彼女のオーバーリアクションが楽しかったー。

LIVEでは弾き語りを中心に、モノマネ芸をたっぷり堪能。
定番の真矢みきに美輪明宏、桃井かおりに大竹しのぶ、瀬戸内寂聴なんていうのもあります。
安藤裕子、笹川美和、YUKI、chara、UA、宇多田ヒカルなどの歌姫メドレーは、「あくびをしながら」とか「寒い、寒いと震えながら」とか、スライドによるモノマネ講座がいちいちおかしい。
さらにはベートーベンの「月光」を厳かに弾きつつ、岸田今日子の声で天気予報。あまりに似合いすぎです。

なかでも爆笑しつつ感動したのは、ピアノで弾く「渡る世間は鬼ばかり」のテーマ曲にのせて、『天空の城ラピュタ』の「君をのせて」を歌いあげるという荒業。
合っているようで合っていないような、絶妙な気持ち悪さのまま最後にたどり着いたときの達成感というか爽快感というか。
いやはや、天才ですねー。

アンコールはミッチャンがいちばん好きな人、矢野顕子の「横顔」。
彼女の明るい歌声のように、楽しい楽しいライブでした。



去年のライブを収録したDVD「バッタもん」は、12月7日発売予定。

Live! 清水ミチコのお楽しみ会 ”バッタもん” [DVD]

Live! 清水ミチコのお楽しみ会 ”バッタもん” [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: DVD


わたしが持っているのは、前作の「リップサービス」。おもしろいよー。

LIVE!清水ミチコのお楽しみ会“リップサービス” [DVD]

LIVE!清水ミチコのお楽しみ会“リップサービス” [DVD]

  • 出版社/メーカー: Sony Music Direct
  • メディア: DVD


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秋の実り [おいしいもの]

食べても食べてもおなかがすく季節。
冬眠に備えてるわけでもないのに、着々と蓄えております。>お金じゃありませんよ!
このぶんだと南極にだって行けそうです。(=`(∞)´=)


先月のお彼岸にお墓参りに行ったら、一面草ぼうぼうになっていて、愕然。
去年かおととしに植木を全部ひっこ抜いて、防草シートと砂利を敷き詰めてあったんですが。
降り積もる木の葉や土ぼこりだけで、雑草が生えるには十分な環境なんですよねー。
次回は軍手&鎌&熊手持参です。(ノ_-;)

それでも季節は秋。
帰る道すがら、木の実・草の実を見かけました。



何の実かなあ。


草むしりが済んだら、ちょうどお昼どき。
ふと思いついて、国立新美術館へ行ってみることに。
ここのラウンジのサンドウィッチ、なかなかおいしいんですよね。

入り口を入ると、館内は意外に閑散としています。
どうやら大物展示のはざ間らしい・・・これはチャンス!
いつも長い行列ができていて入れない、3階のポール・ボキューズ ミュゼへ行ってみました。

楽勝で入れたー♪ヾ(*⌒∇⌒)八(⌒∇⌒*)ツ♪


ほら、だれも待ってないし。

メインディッシュは仔羊とトマトのブイヨン煮・プロヴァンス風。

お肉もソーセージもいい味でしたー。下に隠れたクスクスとも、よく合います。

デザートは、チョコレートのフォンダン仕立て。

フランボワーズの酸っぱいソースで、後味すっきり。

あと、なんといってもおいしかったのは、自家製リエット。

食べかけの写真ですんません。
これをパンに塗って食べたらもう、とまらないのでございます。
お持ち帰りしたかったなあ・・・。(゚ー,゚*)


左は店の外観、右は中庭の竹林。空はすっかり秋ですね。


◆◆◆◆


[おまけ]

このあいだ姉の家に泊まったときに、元わが家のペット・クサガメを撮ってきました。
iPhoneで撮影したので、ブレブレなのはお許しを。(←言い訳)



そういえば今年は結局、卵を産みませんでした。
じつは自分で食べちゃってた疑いも・・・Σ( ̄⊥ ̄lll)・・・


タグ:ランチ カメ
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奇ッ怪 其ノ弐@世田谷パブリックシアター [theatre]

またまたご無沙汰でございます。
前回更新してから約1か月がたち、風はすっかり秋めいてきました。
猛暑でもまったく食欲が落ちなかったのに、このままおいしい季節に突入してしまうなんて・・・。( ̄◇ ̄;)

8月後半は、ン十年ぶりに履歴書を書き、試験と面接を受けてきました。
一般常識とか漢字書き取りとか、ネットやiPhoneのアプリでにわか勉強した甲斐あって(?)、無事合格。
母の介護があるので在宅の仕事なんですが、つまり単価はかなり安いんですが( ̄ー ̄;
とりあえずほっとしましたー。

・・・近況報告はこのくらいにして。

先月末、世田谷パブリックシアターで『奇ッ怪 其ノ弐』を観てきました。
その1にあたる2009年の『奇ッ怪~小泉八雲から聞いた話』は観てなかったんですけど、ブログの感想とか読んでおもしろそうだなぁと思っていて、今回は行ってみることにしました。

[data]
現代能楽集Ⅵ 『奇ッ怪 其ノ弐』
作・演出:前川知大
出演:仲村トオル、池田成志、小松和重、山内圭哉、ほか
東京公演:2011年08月19日(金)~2011年09月01日(木) 世田谷パブリックシアター
上演時間:約1時間40分(休憩なし)

kikkai.jpg
 公演パンフレットより

手前に向かってゆるく傾斜した舞台には、いくつか穴があいていて、そこから時々亡霊らしき人々が。
ここは廃墟となった神社で、そこに神主の息子である矢口(山内圭哉)がやってきます。
勝手に住み着いていたホームレスの男、山田(仲村トオル)と話をしているうちに、再開発業者の橋本(池田成志)と、地質学者の曽我(小松和重)が登場。
数年前にこの村は大地震に見舞われ、地下から発生した硫化水素ガスで多くの命が失われていました。
最近父親の霊を見るので理由を知りたくて里帰りした矢口と、この村を温泉街として再開発したいと張りきる橋本らを前に、山田は昔語りを始めるのですが・・・。

作品のテーマは「鎮魂」、つまり死者の声に耳を傾けることで、さまよう霊を鎮めること。
突然の息子の死が受け入れられず、彼が臓器提供した相手を探さずにいられない母親や、妻をうつ病による自殺で亡くしたことから病院不信に陥り、にせカウンセラーになる夫。暴行される男性を見殺しにしたために、強い罪の意識にさいなまれる男。語り手と演じ手がくるくると変わりながら、死をめぐる短いエピソードが次々と展開していきます。
現在と過去を行ったり来たり、でも現在の4人の会話が軽妙でおかしいので、重さを引きずらずに物語がぽんぽん前に進んでいく。鮮やかです。
仲村トオルさんのトボケぶりも楽しいけど、池田成志さんは時々、そこにいるだけでおかしい(笑)。アドリブも快調なようで、途中、小松和重さんがツボに入って笑いがとまらなくなってました。

そして最後に語られるのは、神社の「あの日」の物語。
村人みんなで祭りの準備をしながら、笑ったりふざけたり、夢を語ったり。
そんな日常の風景が一瞬で失われるシーンでは、やはり大震災を思わずにいられませんでした。
死者は語ることで、生者はその声を聴くことで、やっと前に進むことができるのかもしれない。
深い悲しみの中にも、救いを感じるラストでした。

いわゆる「怪談」ではないけれど、異界と現世が入り組んだ構造になっていて、思い込みが何度もひっくり返されたり、亡霊たちの不思議なしぐさの謎が解けてアッと思ったり。
飽きさせない展開で、おもしろかったです。
「其ノ参」があったら観るぞー。



渋谷方面で芝居を観ると、帰りにかならず寄るのが表参道の「omo」。
今回はこんなお菓子を買ってきましたー。


左の「サクッと塩トマトスナック」は、すっぱしょっぱい味。後味はしっかりトマトなので、トマト嫌いにはおすすめしませんw
右は「クロワッサンラスク」のココア味。軽くてほんのりビターなところが、うんまいです。


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