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火星人の見る夢は [theatre]

液晶ディスプレイ騒動のおかげで、観劇から2週間近く経ってしまいましたが・・・。
(まあ、UPが遅いのはいつものことですけど)
先々週、NODA・MAP第14回公演「パイパー」を観てきました。

[data]
作・演出:野田秀樹
出演:松たか子、宮沢りえ、橋爪功、大倉孝二、北村有起哉、
 小松和重、田中哲司、佐藤江梨子、コンドルズ、野田秀樹
日程:2009年1月4日(日)~2月28日(土) @Bunkamura シアターコクーン
上演時間:2時間5分(休憩なし)

[story]
舞台は1000年後の荒れ果てた火星。
フォボス(宮沢りえ)とダイモス(松たか子)の姉妹、その父親ワタナベ(橋爪功)が営む「ストア」に、
ある日転がり込んできたマトリョーシカ(佐藤江梨子)とその息子キム(大倉孝二)。
記憶力の並外れた少年キムに、ワタナベは遠い昔の映像を見せて記憶させようとする。
その映像とは、人間の鎖骨に埋め込まれ、死後に取り出された小さな記憶装置が映し出すもの。
人を幸せにするという生命体「パイパー」(コンドルズ)を連れて、900年前に移住してきた地球人が、
なぜいま火星で滅びようとしているのか、なぜパイパーは人を襲うようになったのか。
そして、姉妹の母親が遺した“記憶”が映し出す真実とは――。


公演チラシ


一緒に観ていた姉が、会場から出てきてひと言。
「あのストーリーで2時間は長いね」
うーん、たしかに前半は少々気持ちが乗りきれない部分があったかも。
「でもさー、橋爪さんカッコよかった[黒ハート]
姉は橋爪功の大ファンなのであります。
わたしは大倉孝二がラブリーだったと思うなぁ~[揺れるハート]

・・・なんてミーハー話はさておき。

この芝居を観ていて、頭の片隅に引っかかることが2つありました。
1つは、以前観た同じNODA・MAPの「ロープ」のこと。
あのとき、タマシイ(宮沢りえ)が凄惨な歴史(ソンミ村虐殺事件)を実況中継するクライマックスでは、
呼吸もまばたきも忘れるほど舞台の光景に釘づけでした。
耳を覆いたくなるような過去が最後に暴かれる・・・という展開は今回と似ていて、
「ロープ」ではその瞬間、過去と現在をつなぐ回路がパッと開かれた感じがしたのですが、
「パイパー」は過去といっても「未来世界の過去」のせいか、どこか遠くの風景を見ているような。
(あっ、これはわたしの個人的な印象ですから( ̄ー ̄;)

もう1つは、レイ・ブラッドベリの『火星年代記』。
自分が大のブラッドベリびいきのせいだとは思うんですけども、
どうしてもこの作品を思い出さずにいられなかった。

『火星年代記』は、火星に移住した地球人と火星人たちの滅亡と再生の物語。
SFというジャンルには収まりきれない、ユニークで美しい作品です。
もう一度読んでみたくなって、埃にまみれつつ、本棚の奥からやっと探し出しました(+_+)


左は「パイパー」パンフレット、右が『火星年代記』です。

ページが茶色く変色した文庫本の奥付を見たら、「昭和53年9月30日 6刷」でした。
当時わたしは、えっと・・・(以下略

最終章「百万年ピクニック」では、地球にも火星にも人類は残りわずか。
滅びる地球を脱出してきた一家の父親は、火星人に会いたかったと泣く幼い息子に、
優しく語りかけます。

  運河に着いた。運河は、夜の中で、長々とまっすぐに横たわり、冷たく濡れて、光を反射していた。
  「ぼく、とても火星人が見たかったんだ」 と、マイケルが言った。「どこにいるの、パパ?
  見せてくれるって約束したじゃないか」
  「そうら、そこにいるよ」 パパは、マイケルを肩の上に移して、真下の水面を指さした。
  火星人がそこにいた。   (ハヤカワ文庫NV『火星年代記』小笠原豊樹訳、P.313)


未来の人類の子孫たちにとって、わたしたちは祖先なんですよね、当たり前のことですけど。
フォボスとダイモスの姉妹は、最後の地球人ではなく、最初の火星人。
「ロープ」が過去と現在をつないだように、「パイパー」は現在と未来をつなごうとしているのでしょうか。

うだうだと書きましたが、芝居はおもしろかったです。
取ってつけたような言い方で恐縮ですが(笑)
太い声の宮沢りえは迫力あったし、大倉孝二はどこから見ても天才火星人だし(とてもほめてます)。
たぶんもう1回観たら、もっと楽しめるはず。終わっちゃいましたけどね(-ω-;)


しかし野田秀樹は『火星年代記』を意識しているのかなー。気になります。


火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)

火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)

  • 作者: レイ・ブラッドベリ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1976/03/14
  • メディア: 文庫



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しとやかな獣@紀伊國屋ホール [theatre]

風の強い日曜日に、新宿・紀伊國屋ホールにて「しとやかな獣(けだもの)」を観劇。
演出家のKERAと女優の広岡由里子による演劇ユニット、
「オリガト・プラスティコ」の第4回公演となる今回は、
川島雄三監督作品「しとやかな獣」(1962)を舞台化するという。
オリガト・プラスティコを観たこともないし、川島監督の映画も未見だけれど、
新藤兼人が脚本を書いた異色のブラックコメディ、というところに惹かれてしまった(* ̄。 ̄*)



パンフレットより。左が広岡、右がKERA

時代は昭和30年代半ば、まだ東京オリンピックも開かれていないころ。
団地の一室を舞台に、ある四人家族の日常が描かれる。
父親の前田時造(浅野和之)は戦後、いくつかの事業に失敗して現在無職。
専業主婦の妻よしの(広岡由里子)とともに、
息子の実(近藤公園)と娘の友子(すほうれいこ)の稼ぎで日々暮らしている。
といっても、稼ぎ方が全然マトモではない。
実は勤務先の芸能プロの金を横領し、友子は有名小説家(大河内浩)の妾となるが、
時造はその手当てだけでは飽き足らず、小説家にたびたび金をせびる始末。
他人の金を巻き上げ、その金で贅沢三昧するこの一家もトンデモナイのだが、
さらに上を行くのが芸能プロの経理担当・三谷幸枝(緒川たまき)。
実を筆頭に、数々の男と関係を結んで大金を貢がせ、着々と旅館開業資金を貯めているのだ。
不正の証拠は一切残さず、前田一家も舌を巻くほどの手際のよさで。


・・・とまあ、ストーリーはこんな感じですが。
痛快でしたw
わっはっはと笑うよりも、腹の底からクックッとブラックな笑いがこみ上げてくるような。
もう、前田一家に弟子入りしたい~!(ウソ)
貧乏で卑屈になって、世を恨んだりグレたり絶望したりするんじゃなく、
「どんな手を使っても生きるのだ!」というパワーがすごい。
その対極にいるのが、幸枝のために法を犯す税務署員の神谷(玉置孝匡)。
愛する人に迷惑をかけまいと、すべての責任を一身に背負い去っていく。
でも、こういうのを美徳だなんて思っちゃいけない。
生きてこそ、の人生なのだから。

[data]
東京公演:2009年1月29日(木)~2月8日(日)紀伊國屋ホール
作:新藤兼人
演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)
出演:浅野和之、緒川たまき、広岡由里子、近藤公園、すほうれいこ、
 佐藤誓、大河内浩、玉置孝匡、山本剛史、吉添文子
上演時間:約1時間40分


タイトル部分に切り取り線があって、窓が開くようになっているんだけど、
もったいなくて切り取れない~(^▽^;)


若尾文子が幸枝役の映画版はこちら。↓ いつかぜひ、観てみたい。

しとやかな獣 [DVD]

しとやかな獣 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 角川映画
  • メディア: DVD


◆◆◆◆


[おまけ]

今回の舞台は、昭和30年代半ばの郊外の団地の一室とあって、
当時の生活感あふれる小道具を見るのも楽しかった。
  • ルノワールの絵 ←よく銀行とかのカレンダーに使われてた
  • 東郷青児の絵 ←人気ありましたね
  • チャンネルをガチャガチャ回すタイプのテレビ ←しかも白黒
  • 玉暖簾 ←うわ! 懐かし~
  • 籐製スツール ←真ん中が凹んでいるので鼓椅子ともいう
  • 竹製のステッキ ←いまもあるけど
  • ガーゼの寝間着 ←パジャマではなく浴衣スタイル
  • 越路吹雪、丸山明宏の歌 ←いまは美輪明宏ですね

自分としては、玉暖簾がいちばんのツボ☆
こういうのを懐かしいとか言ってると、トシがばれるなぁ~o( ̄ー ̄;)ゞ


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もうひとつの冬物語と、 [theatre]

先週の土曜日、蜷川幸雄の『冬物語』を観に、さいたま芸術劇場へはるばる行ってきました。
早めのお昼を駅前のサイゼリヤで食べていたら、窓の外に雪が。
東京も千葉も小雪がちらついたそうですが、与野本町は大雪でした!
ただし10分間限定ですけど( ̄ー ̄;)ゞ



[彩の国シェイクスピア・シリーズ第21弾「冬物語」]
日時:2009年1月15日(木)~2月1日(日)
会場:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
演出:蜷川幸雄
作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:松岡和子
出演:唐沢寿明、田中裕子、横田栄司、長谷川博己、藤田弓子、六平直政、瑳川哲朗、ほか
上演時間:1幕90分、休憩15分、2幕100分
劇場サイトURL:http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2009/p0115.html



パンフレットより


シェイクスピアの『冬物語』というと、去年の夏に「りゅーとぴあ」版を観たばかり。
(そのときの記事はこちら
行こうかどうかちょっと迷いましたが、配役は魅力的だし、
全然違うバージョンで観るのもおもしろいかも? と思って行くことにしました。

『冬物語』って、主人公レオンティーズの嫉妬があまりに唐突で激しすぎたり、
死んだはずの王妃ハーマイオニが彫像から生き返ったりして、
シェイクスピア劇の中でもお伽話度が高いというか、
悪く言えばかなり「ありえねー」的ストーリーなんですよね( ̄ー ̄;
それだけに、話に説得力を持たせるには演出家の腕が物を言う作品。
その点、りゅーとぴあ版の幻想的な演出は、一篇の絵物語を見ているようで、
現実離れしたストーリー展開に何の違和感もありませんでした。

で、今回の蜷川版を観て思ったのは、やはり直球勝負で来たなあということ。
オーソドックスで安定感があり、かといって退屈を感じることはなく。
りゅーとぴあ版ではカットされていた登場人物や、
祝祭色の強い「羊の毛刈り祭り」などの場面もていねいに描き込んであり、
3時間半におよぶ美しい物語を堪能することができました。

ラストのハーマイオニ再生と家族再会の場面が感動的なのはもちろんですが、
いちばん胸打たれたのは、1幕の裁判の場面で、
不義・謀反の疑いをかけられたハーマイオニが、毅然として身の潔白を訴えるシーン。
ハーマイオニ役の田中裕子はあくまで誇り高く、気品があり、
静かなセリフのひとつひとつが心にしみ込んできて、涙を誘います。

男優陣はみんな巧いんですけど、個人的にはりゅーとぴあ版のほうが好みかな。
でも王子フロリゼルの長谷川博己はきれいでした~(゚ー゚☆
驚いたのは、瑳川哲朗の変貌ぶり。
時代劇でも舞台でも渋いイメージが強かったと思うのに、
ぷっくり太鼓腹をベルトの上にのっけて、陽気に歌を歌う行商人ですから!
歌はやたら巧いし、コミカルな演技も観客に大ウケでした。新キャラ開拓か?

それにしても、演出家によって作品はこうも変わるものなんですねー。
観てよかったです。


◆◆◆◆


先週はもうひとつ、心躍る出来事がありました。



今年も柴犬陸さんから、大好きな陸くんのカレンダーをいただきました♪
1月は結んだおみくじ、2月は積もる雪。3月は満開の桜を背景に。
季節感あふれる写真を通して、1年間の陸くんの成長ぶりが見られます。



9月のカレンダーには、誕生日にプレゼントしたオモチャと戯れる陸くんが。
気に入ってくれて、大感激です(T^T)
柴犬陸さん、どうもありがとうございました!



この日は柴犬陸さんと待ち合わせて、

カリフラワーの一口スープエビとナスのチエドサラダ ラタトウイユのジュとピリッとした赤ピーマンのアイスクリームを添えてスズキのポワレ 木の子のクーリースースとコキヤージュのエミュルション本日のデザート

イグレック丸の内のおいしいランチに舌鼓を打ち、



新丸ビルの天井の高ーいアトリウムでひと休みしたあと、
大丸のイノダコーヒでケーキセットをペロリ。

柴犬陸さんとお会いすると、なぜか妙に元気になってしまうワタクシ。
ほんとによく食べ、よくしゃべった一日でありましたv


イグレック丸の内

イグレック丸の内

イノダコーヒ 東京大丸店

イノダコーヒ東京大丸支店

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太鼓と笛とクリスマスと・・・ [theatre]

八重山の旅行記は、ちょいと中断いたしまして。

こまつ座公演「太鼓たたいて笛ふいて」を観に行ってきました。






 [data]
 作:井上ひさし
 演出:栗山民也
 出演:大竹しのぶ、木場勝己、梅沢昌代、
  山崎一、阿南健治、神野三鈴
 ピアノ演奏:朴勝哲
 東京公演:2008年11月21日~12月20日
 会場:新宿南口・紀伊國屋サザンシアター



昭和初期に『放浪記』で人気作家となった林芙美子の、後半生を描いた音楽劇。
彼女は第二次世界大戦中、従軍作家として南京やボルネオへ行き、
前線の兵士を賛美する文章を精力的に書くのですが、
帰国後は一転、筆を折って信州に引きこもります。
当局の思惑どおりに「太鼓たたいて笛ふいて」、国民を戦場に駆り立ててしまった。
そう自分を責める芙美子は戦後、戦争で傷ついた市井の人々の物語を、
それこそ命を削るようにして書いていくのです、47歳で急死するまで。

大竹しのぶの林芙美子は、まさにはまり役。
まあ、この人は何を演じてもそう思わせるところがすごいんですけども( ̄ー ̄;
芙美子の野心と作家魂、自分の意志を貫きとおす強さ、市井の人々への優しさ。
すべてがリアルに感じられて、笑えて泣けました。
広島弁フェチのわたしには、梅沢昌代演じる林キク(芙美子の母)の尾道弁も最高♪
この作品のからっとした明るさは、彼女のキャラクターに負うところが大きいです。
阿南健治は相変わらず軽業師のような身のこなしでしたが、
あの歌はわざとヘタに歌ってるの? それとも天然?(笑)

今回の公演は再々演だそうですが、こういう作品はまたいつか上演してほしいですね。
めざせ、森光子@放浪記!


◆◆◆◆


観劇後は、ある方と劇場でお会いすることになっていました。
2年前、わたしを初めてこまつ座の公演に誘ってくれた方。
いつもブログでお世話になっている、柴壱さんです(^^♪
今回のプログラム「the座」には、柴壱さんの書いたインタビュー記事や、
撮影した写真がいくつも掲載されているんですよ~v

いつかどこかで会えそうな気がしていながら、いつもすれ違い。
東京公演の最終日だったこの日、ようやくの初対面となりました。
カフェでケーキセットをつまみつつ、とても楽しいひとときを過ごしたのですが。
今回はもうひとつ、大事な目的があったのです。



「ニッポンのわんこよみ2009」。
柴壱さんと交流のある柴犬オーナーの方々から送られた写真をもとに、
毎年柴壱さんが制作されている柴犬カレンダーです。
(詳しくは、こちらを。http://black-shibainu-165.blog.so-net.ne.jp/2008-12-09
わたくし柴犬オーナーでも何でもないんですが、
厚かましく毎年分けていただいております(≡ ̄ー ̄≡)
今年もメールで注文させていただき、劇場で直接受けとることに。
大好きな柴犬陸さんちの陸くんも、カレンダーの4月に登場♪
今年同様、殺風景なオフィスのデスク横に飾る予定です。

さらにさらに、うれしい頂き物。


シベール「麦工房」のラスクフランスです[ぴかぴか(新しい)]


ほんとはもうひと袋いただいたのですが、すでにありません(; ̄ー ̄A
柴壱さんカラー(勝手に命名)のすてきなバッグに入れてくださいました。
あらためて柴壱さん、ありがとうございましたm(__)m

今回の「太鼓たたいて笛ふいて」が千秋楽を迎える山形市の「シベールアリーナ」は、
シベールの社長がこの舞台を観て感動したのをきっかけに、誕生した劇場だとか。
こんな時代に、すごいことですよね。

そして、肝心のラスクフランスですが。

ラスクって、こんなにおいしいものだったの?!

と驚愕しております。
一度食べだしたら、もうやめられない。誰か止めてーーーー!!


◆◆◆◆


せっかくクリスマスが近いので。
モザイク通りを激写しに行くという柴壱さんに、便乗してきましたw


じゃーん! 柴壱さんご愛用のカメラです[カメラ]


マイ・コンデジではこれが限界~o( ̄ー ̄;)ゞ


次第に色が変わっていくクリスマスツリー。



この写真のどこかに、柴壱さんが。
正解は・・・内緒です(^m^)


モザイク通り




早いもので、明日はもうクリスマスイブ。
25日早朝にはSo-net大メンテナンスが行なわれるようです。
メンテ後に何も起きないといいのですが・・・( ̄ー ̄;

ではでは、みなさんHappy Christmasを~[バー]

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シャープさんフラットさん(ブラックチーム)@本多劇場 [theatre]

もう1週間以上前になりますけど、ナイロン100℃のお芝居を観に下北沢へ行ってきました。
タイトルは「シャープさんフラットさん」。
劇団結成15周年を記念して、ダブルキャストの2本立て興行になってます。
大倉孝二主演のブラックチームと、三宅弘城主演のホワイトチームのうち、
わたしが観たのはブラックチームのほう。
ナイロン100℃は初観劇で、劇団員の個性とかもよくわからないので、
知っている名前がより多いチームを選びましたv(←単純~)


[data]
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)
出演:大倉孝二、犬山イヌコ、みのすけ、峯村リエ、三宅弘城、
 小池栄子、坂井真紀、住田隆、マギー、ほか
公演期間:2008年9月16日(火)~10月19日(日) 下北沢 本多劇場
上演時間:2時間30分(休憩なし)


公演チラシ第1弾(左)と第2弾。左のはチラシのデザインラフに似せた凝ったつくり。
マスキングテープやトレペ、DICのカラーチップなどがすごくリアル!


◆◆

KERAの自伝的作品ということで、主人公は人気劇団を主宰する劇作家。
時代は1980年代後半から90年代前半、
ちょうどバブルの絶頂から崩壊までの数年間にあたります。
ナンセンスコメディを書いている辻煙(つじ・けむり=大倉孝二)は、
自分と周囲が求める「笑い」の質が微妙にズレてきていることに悩み、
仕事を投げ出して超高級サナトリウムに入所。
そこでお笑い芸人・園田研々とその妻、お笑い好きな社長とその生意気な娘、
研々の元相方・赤坂などと出会うことで、煙にとって「笑い」って何なのか、
彼が何にこだわって生きてきたかが浮き彫りになってくる・・・というお話。

タイトルの「シャープさんフラットさん」は、音程が半音ずれている、
つまり世間一般とはちょっとズレた人たちを意味するということが、
あるシーンの中で明かされます。
サナトリウムはまさに、シャープさんフラットさんの巣窟。
でも、ズレた人同士の音程がぴたっと合うこともある。

恋人(小池栄子)も劇団員もわかってくれない煙の「笑い」を、
ただ一人、完璧に理解してくれるのが女芸人の赤坂(峯村リエ)。
二人が延々とナンセンスなかけ合いを続けるところとか、
煙が妄想の中で、イタい現実をコメディに変えてしまうシーンには大笑いしたけど、
全体としてはシリアスな作品でした。
夫・園田研々(住田隆)の芸は最高におもしろいんだと盲目的に信じる妻(犬山イヌコ)と、
煙の唯一の理解者・赤坂との対比も興味深かった。
物語を彩る印象的なエピソードは創作だとしても、
煙が抱えてきた孤独や焦燥、覚悟みたいなものには、
きっとKERA自身が投影されているんだろうなと思いました。

途中、「ボケ老人で笑わせるなんて」と過去の作品を批判され、
「世の中に笑っちゃいけないことなんてないんだ!」と反論する煙。
この言葉がラストへの伏線にもなっているんだけれど、
それでふと思い出したのが、昭和の終わりの「自粛」ブームです。
テレビは連日、昭和天皇の容態を流しつづけ、
くだらないバラエティ番組は不謹慎だとして放送自粛。
巷ではお祭り行事が中止されたり、縮小されたり。
いま考えても、あれはほんとうに異常でした。
人には「笑う自由」がある、どんな悲惨な状況でも、むしろそんなときにこそ。
煙の言葉には、そんなメッセージも込められているのでしょうか?

不安と自信が交互に顔を見せる大倉孝二の演技が印象に残りました。
ホワイトチームの公演では、若干ラストが違うんだとか。
うーん、気になる~!!

◆◆

買おうかどうしようか、すっごく迷ったんですけど、
芝居がおもしろかったので、結局買ってしまいました。
公演プログラムに15周年記念ブックがついて、2500円。



↑ 見て見て、この厚さ!
読んだらあっという間でしたけどね( ̄ー ̄;


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偶然の音楽@世田谷パブリックシアター [theatre]

雨降りの日曜日に三軒茶屋へ。
世田谷パブリックシアターで、「偶然の音楽」を観てきました。


公演チラシ

3年前、仲村トオルと小栗旬の組み合わせで上演された舞台(観てませんが)。
今回は小栗旬に代わって田中圭が出演するというので、
チケットとりやすいかな~(失礼)と思ってたんですけど。
2階席でした・・・( ̄  ̄;)
以前、ここの3階席で脂汗[たらーっ(汗)]を垂らした経験を持つ高所恐怖症の私ですから、
この席(2階正面2列目)にはちょっと凹みました。
でも幕が開いてみたら、すごくいい席だったんです、この作品を観るためには。

チェス盤のようにも見える石畳の舞台は、幅が狭く客席側にせり出した形。
そこを出演者たちがチェスの駒のように縦横に動きまわることで、
時間の経過や走り去る景色、人々との出会いや別れを表現しているようです。

  物語の主人公、ジム・ナッシュ(仲村トオル)は妻に逃げられた消防士。
  ある日、行方知れずだった父親の莫大な遺産が転がりこんでくる。
  家も職も捨て、新車の赤いサーブを買い、あてのない旅に出るナッシュ。
  遺産を浪費しながら憑かれたように走りつづける彼の前に、
  ジャック・ポッツィ(田中圭)という傷だらけの若者が現われる。
  天才的ギャンブラーであるポッツィが言うには、
  数日後に大富豪二人とポーカーゲームをして大儲けする計画だという。
  旅を終わらせるために、ナッシュは遺産のすべてを提供して勝負に臨む。
  ところが、ゲームに負けたうえに借金まで背負った彼らを待っていたのは、
  ひたすら城壁の石を積みあげるだけの労働の毎日だった――。




公演プログラムより

寓話のように非現実的な、不思議な出来事の連続のなかに、
人間のリアルな心理をあぶり出すポール・オースターの原作。
制約の多い舞台空間で、あの距離感や大きさをどうやって表現するんだろう?
と興味津々でしたが、シンプルな舞台装置と小道具をうまく使いながら、
透明感のある物語世界が見事に再現されていました。

ナッシュとポッツィが考えるさまざまな「偶然」。
・・・もし娘を手放す前に遺産が手に入っていたら。
・・・もしポーカーでツイている最中にナッシュが席を立たなければ。
物事の起きる順番が違っていたら、まったく別の人生が待っていたかもしれない。

だけど、人間は「偶然」に翻弄されるだけの存在ではないはず。
人の一生のうちにはたくさんの分かれ道があって、
ひとつ選ぶたびに右へ大きく振れたり、また左へ揺りもどしたりするけれど、
その人の内面の方向性みたいなものは、あまりブレがないんじゃないかと思うんです。
「偶然」に逆らうことはできないけど、「偶然」に運命を操られる必要もない。

プログラムのなかに、仲村トオルのこんな言葉がありました。

なにか流れがあって、それに抗おうとしてもダメな時はダメだし、乗れる時は乗っていかなきゃ、という想いは僕の中にもあります。でも、ダメな時でも抗うことは決して無駄ではなくて。すごい激流を川上に向かって泳がなきゃいけない時も、流されつつ抗って泳いだ結果ついた筋肉はそのうち役にたつだろう、みたいな気もします。


流されつつ抗って泳いだ結果ついた筋肉・・・。うまいこと言うなあ。

ネタバレになるので書けませんが、ラストシーンもすごくよかったですよー。
「ナッシュが最後に見た風景」(白井晃)に、小説にはない救いがあって。
悲しみとともに、温かな余韻が残る舞台でした。

[data]
原作:ポール・オースター
構成・台本・演出:白井晃
出演:仲村トオル、田中圭、三上市朗、大森博史、小宮孝泰、ほか
公演期間:2008年9月14日(日)~2008年9月28日(日)
会場:世田谷パブリックシアター
上演時間:2時間15分(休憩なし)

原作本は、↓こちら。

偶然の音楽 (新潮文庫)

偶然の音楽 (新潮文庫)

  • 作者: ポール オースター
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2001/11
  • メディア: 文庫


◆◆◆◆


[偶然つながり?]

いつだったか忘れましたが、今年も「ほぼ日アンケート2008」に回答したところ、
このたび「ほぼ日特製ステッカー」が当選しましたv



これ、椎名さんも当たったそうです。
フフフ、ステッカー仲間ですねw


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りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ「冬物語」劇場版@あうるすぽっと [theatre]

暗闇の奥から、小さな火の玉を手にした白装束の人々が4人。
床に置かれた白い球体に、その火で次々と灯りをともしていきます。
舞台にぐるりと並んだ球体の数は、12個。
4と12、その数字が意味するものとは・・・。

公演チラシ

イギリスのシェイクスピア作品を、能楽堂という和の舞台空間で上演する試み、
りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ」は、
新潟市民芸術文化会館・りゅーとぴあが企画・製作しているもの。
去年、「ハムレット」東京公演を観てきたイトコから話を聞いて、
行ってみたいなぁ、でも能楽堂で観るのはツライなぁと思っていました。
背もたれのない席で、2時間耐えられる腰ではありませんから(^^;

でも今回の「冬物語」は、東池袋・あうるすぽっとでの劇場公演。
ヨーロッパツアー用にアレンジした、劇場版「冬物語」なのです。
はりきって発売初日にチケットをとったら、最前列のど真ん中でした!
うれしすぎる・・・(感涙)


「冬物語」のあらすじは、りゅーとぴあの初演時のサイト(こちら)へどうぞ^^
簡単にご紹介すると、シチリアの王レオンティーズが王妃と親友の不倫を疑い、
嫉妬に狂って王妃を告発した挙げ句、愛する者すべてを失ってしまう。
16年間の悔恨の日々を経て、大いなる奇跡が訪れる・・・というお話です。

12個の球体以外、ほとんど何もない舞台。
その背景でしんしんと降りつづける雪の向こうに、
英語の字幕が大きく浮かび上がります。
まるで舞台全体が巨大な絵本であるかのように。

この作品で大きな役割を果たすもの、それが「言葉」と「時」です。
レオンティーズがいくら引き止めても帰国しようとした親友ポリクシニーズを、
王妃ハーマイオニは心のこもった言葉の力で、あっさり翻意させてしまう。
忠臣アンティゴナスの妻という身分でありながら、
王を恐れず真実を訴えるポーライナの言葉にも、迫力があります。
どちらも女性なんですよね、言葉の力を正しく行使できるのは。
そして、白装束の「言霊」たち。
舞台上で無言のまま静かに舞いつづける4人の「言霊」から、
彫像となったハーマイオニの16年間の悲しみが伝わってくるようでした。

12個の球体が表わしているのが「時」であり、
ここに火を入れた瞬間、物語が動きだすという仕掛けも見事。
それと、「時」を演じる役者が1幕の終わりに出てきて口上を述べるんですが、
その後の休憩時間中もずっと、「時」は立ち止まることがないんです。
いっぽう、時間を奪われたハーマイオニは2幕の間中、動かない彫像のまま。
こういう演出をする栗田芳宏氏もすごいけど、演じる役者さんもすごいなぁ。

ゆっくりとした無駄のない動き、声にならない叫び。
「静」の舞台だからこそ、感情の動きが際立ち、胸に迫ります。
クライマックスのハーマイオニの再生、そして再会の場面は美しく、感動的でした。
人間の愚かな過ちを大きく包み込むような、時の赦し。
母と子の幸せな語らいの中で、物語は幕を閉じます。


        当日配られたチラシより


それにしても、シェイクスピアって懐が深いです。
能舞台との融合も、全然違和感がなかったし。
この日もらったチラシの中には、シェイクスピアものがこんなにありました。



「冬物語」も、来年はさいたま芸術劇場で蜷川版が上演されるんですよね。
チケット、どうしようかなぁ。


◆◆◆◆


[data]
作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:松岡和子
構成・演出:栗田芳宏
出演:谷田歩、河内大和、山賀晴代
 荒井和真、横山道子、町屋美咲、大山真絵子、永宝千晶、横山愛
 塚野夢美、住田彩、塚野星美、磯野知世、栗田芳宏
東京公演:2008年8月28日(木)~8月31日(日)あうるすぽっと
上演時間:1幕1時間20分、休憩15分、2幕55分



初めて行った「あうるすぽっと」は、地下鉄東池袋駅と直結。
向こうにぼんやりと見えるのはサンシャイン60です。


1階通路がやけに広いのはなぜ?


あうるすぽっと




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女教師は二度抱かれた@シアターコクーン [theatre]

試写会の翌日(8月17日)は、うって変わって涼しい一日。
シアターコクーンで、松尾スズキ作・演出「女教師(じょきょうし)は二度抱かれた」を観た。

公演パンフレットと、おまけのクリアファイル


[data]
作・演出:松尾スズキ
出演:市川染五郎、大竹しのぶ、阿部サダヲ、市川実和子、荒川良々
 浅野和之、松尾スズキ、ほか
公演日程:2008年8月4日(月)~27(水) Bunkamuraシアターコクーン
上演時間:1幕1時間40分 休憩20分 2幕1時間30分

[story]
小劇場系の新進演出家・天久六郎(市川染五郎)は、
歌舞伎界の異端児・滝川栗乃介(阿部サダヲ)とタッグを組み、
新しい現代歌舞伎に挑戦しようとしている。
CM出演も決まり、念願の劇団専用稽古場も契約。
だがそこに現われたのは、高校時代に演劇部顧問だった教師・山岸諒子(大竹しのぶ)。
教え子だった天久と関係をもったために婚約破棄・退職に追い込まれ、
精神に異常をきたしていた彼女は、自分を女優として舞台に出演させるよう要求する。
次々と起きる予想外の“事故”とプレッシャーの中で、
天久は次第に追いつめられていき――。

◆◆

松尾スズキが「@ぴあインタビュー」の中で語っているように、
物語は「『欲望という名の電車』のブランチのその後」という設定。
元教師・ブランチが大竹しのぶ、彼女と関係をもつ元生徒が市川染五郎だ。
「(加害者である生徒は)教師を病院送りにしてしまったことでいろんな人が巻き添えになるのに
そのツケを払ってないから、払うところが見たい(笑)」(インタビューより)

歌舞伎とは違う意味(二丁目系[黒ハート])で女形が板についている阿部サダヲに、
意外と(?)頼もしい感じの荒川良々、独自の芸風で笑いをとる浅野和之などなど、
個性あふれるキャストの力で3時間半、退屈するヒマもなく物語は突き進む。
時々生バンドをバックにして大竹しのぶや市川実和子がスタンドマイクで歌う場面も、
退廃的な雰囲気を醸し出していてなかなかよい。

初めて観る松尾スズキの脚本は、ギョーカイネタとおやじギャグ満載であった。
ギャグがすべってもそれは計算ずくで、そこでまた笑いが起きるのだけど、
たまに本気ですべってたような気も・・・(汗)

リハーサル風景


『欲望という名の電車』ではブランチの妹が夫からDVを受けるが、
この舞台ではマネージャーの白石(市川実和子)が彼氏のDVで顔に青あざをつくる。
そして諒子は、自分の存在理由を探して狂気の淵をさまよう。
だけど、彼女たちが悲惨な状況にあるからといって、
ほかの人間より不幸だ哀れだと決めつけるのはどうだろう。
なによりも、二人は未来に絶望していない。後ろばかり振り返っているのは天久のほうだ。

この世が終わりのない悪夢だとしても、人生は生きるに値する。
人間壊れてるなら、壊れてるままでいこう。
芝居を観てそんなふうに感じた私は楽観的すぎるだろうか?
だって、ブランチが「哀れな女性」として完結するなら、その後の彼女を改めて描く意味がない。
諒子=ブランチの人生は、まだこれからも続くのだ。

  だけど それでも
  繰り返そう
  しょぼくれながら
  繰り返そう
  青息吐息で
  夢の尻尾を離さないで

  (戯曲「女教師は二度抱かれた」より。『文学界』2008年9月号、p.211)


文学界 2008年 09月号 [雑誌]

文学界 2008年 09月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/08/07
  • メディア: 雑誌



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道元が冒険してハラマキ到着 [theatre]

相変わらず記事をupするのが遅くなってしまいましたが、
シアターコクーンで先週末、「道元の冒険」を観てきましたv

[data]
作:井上ひさし
演出:蜷川幸雄
音楽: 伊藤ヨタロウ
出演:阿部寛、栗山千明、北村有起哉、横山めぐみ
 高橋洋、大石継太、片岡サチ、池谷のぶえ、神保共子、木場勝己
東京公演:2008年7月7日(月)~28日(月) Bunkamura シアターコクーン
上演時間:1幕1時間35分、休憩15分、2幕1時間30分

story:
 時は寛元元年(1243年)。日本曹洞宗の開祖・道元によって開かれた宝林寺では、開山7周年の記念に弟子の禅僧たちによる余興『道元禅師半生記』が上演されようとしていた。
 このところ道元は、ひどく頻繁に夢うつつの世界に迷い込んでしまう、夢の中で彼は彼でなく、いつの時代か、婦女暴行の容疑で拘留中のひとりの“男”になっていた。
 一方、現実の世界でも道元は、既存の仏教に否定的で新仏教を立ち上げたことにより幕府や朝廷、比叡山の僧兵たちから睨まれ、その圧力に動揺を隠せない。
 誠の教えを求め、悟りを開いて世情を超越したはずの道元だが、過去と現在、不可解な夢を彷徨いながら、いつしかその心を迷いの渦に絡めとられていく――。(Bunkamura公式サイトより)


会場のポスター


弟子たちが上演する劇中劇を観る道元(阿部寛)と、
警察に拘留中の新興宗教の教祖らしき男(阿部寛=2役)とが、
夢を仲立ちにして行ったり来たりするという劇構造。
劇中劇は道元の少年期(栗山千明)、青年期(北村有起哉)、
壮年期(高橋洋)の3つに分けて演じられるうえに、
寺には飛び込みの客人も次々とやってくるので、
10人の俳優で47役(!)を演じ分けなければいけません。
この見事な早変わりと、「波羅密多ソング」をはじめとする痛快な歌のパワーが、
3時間強の芝居をぐいぐいと引っぱっていきます。

以下、断片的な感想など。
  • よく歌いよく走る、見て聞いて楽しい音楽劇。

  • ただ、仏教用語たっぷりの歌詞が少々聞き取りにくい。「藪原検校」のように、電光掲示で歌詞を流してくれたらよかったな。

  • 阿部ちゃんはよかった。黙って座禅を組んでいるだけのシーンでも、ガタイがよくて存在感があるし、狂気を含んだギョロ眼は遠目にもめだつ。

  • 彼の歌は・・・( ̄ー ̄;  声は通るし、音程をはずすわけではなかったけど。もしかして、ほんとはすごい音痴なんじゃないだろうか。でもキャラ的に許せる(笑)

  • 栗山千明の少年道元ははつらつとして魅力的。声も澄んでいて聞きやすい。

  • 高橋洋の、白塗りのお公家さん(鷹司兼平)の連歌ふう長セリフに笑った笑った。でも壮年道元のパートは、せっかくの勢いが停滞してしまった感じ。「風鈴の歌」、少々しつこいかも(+_+)

  • 木場勝己さん、裏主役と言えるほどの大活躍! この日は「波羅密多ソング」で手元が狂い、経典をばらばらに崩してしまったのはご愛嬌ということでw

  • 夢と狂気をテーマにした芝居だと思えば、ラストのオチは想定内。ストーリーは全然違うけど、村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』や、「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」のラストが思い浮かんだ。切ない。



  • パンフレットより


    この日はカーテンコールが多めだったのか、最後の幕が上がったとき、
    みんなすごくうれしそうに笑っていたのが印象的でした。
    なかでも、下りてくる幕と床とのすき間から、屈んで最後まで手を振っていた栗山千明。
    かわいかったー♪


    ◆◆◆◆


    さてさて本日、ほぼ日ストアから夏のハラマキが届きました[かわいい]



    名づけて「ほぼ日のんびりハラマキ」。
    (サイトはこちら→http://www.1101.com/store/haramaki/index.html
    腰痛持ちで“冷え”に弱いワタクシ、夏もハラマキは欠かせないのでございます。



    レモンツートン」は母親用、水色の「植物」が自分用。
    チラ見せするのに水色がほしかったので、大満足ですw

    8月1日(金)からは、数量限定で再販売がスタート。
    詳しくは、こちら。↓
    http://www.1101.com/store/haramaki/nonbilly/news/index.html
    冷房病対策にも、おすすめですよ~♪


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    瞼の母@世田谷パブリックシアター [theatre]

         おかみさんはもしや、
         あッしぐらいの年頃の男の子を
         持った憶えはござんせんか。
    (「瞼の母」より)



    時代劇だって苦手なくせに、股旅物として有名な「瞼の母」を観劇することになりました。
    キャストがあまりに魅力的な顔ぶれだったせいですが。
    いちばんのお目当ては、主役の草彅(くさなぎ)くんでございましたv

    平日の夜公演だから、さぞかし若い女性たちでいっぱいかと思いきや。
    意外とシニアな女性も多かったです。
    会場は補助席や立見席も出て、超満員。
    わたしの席はかなり端っこで、左斜め横から舞台を見るような格好になりました。


    [data]
    シス・カンパニー「瞼の母」
    公演期間:2008年05月10日(土)~2008年06月08日(日) 世田谷パブリックシアター
    上演時間:約1時間30分(休憩なし)
    作:長谷川伸
    演出:渡辺えり
    出演:草彅剛(くさなぎ つよし)/大竹しのぶ/三田和代/篠井英介/高橋長英/高橋克実/高橋一生/市川ぼたん/梅沢昌代/ほか
    公演概要 http://www.siscompany.com/03produce/19mabuta/

    [story]
    5歳で母と生き別れ、いまは渡世人(=ヤクザ)となった忠太郎(草なぎ剛)が、
    母の面影を求めてさすらう物語。
    風の便りに母・おはまが江戸にいると聞き、忠太郎は江戸へ。
    途中、忠太郎の弟分・半次郎(高橋一生)の母親(三田和代)に始まって、
    わが子への尽きない愛情を抱く4人の母親たちとの出会いのなかで、
    忠太郎は母への想いをますます募らせていく。
    そして1年後。ついにおはま(大竹しのぶ)との再会を果たしたものの、
    いまでは名のある料理屋の女将となっているおはまから、
    「どうせ金目当てだろう」と疑われ、追い返されてしまう――。





    3時間越えの芝居も多いなか、1時間半なんてあっという間だろうと思っていたら、
    やっぱりあっという間でした(^^;
    それでも、映画で言えば1カット1カットがていねいにつくられていて、
    前半の“母めぐり”の場面から、もう切なさがこみあげてきます。

    とにかく草なぎくんが綺麗なんですよー[ぴかぴか(新しい)]
    もちろん横顔とか立ち姿とか、見た目にも凛々しいんですが、
    忠太郎としてそこに在ること、それだけで胸を打つものがあるんです。

    大竹しのぶ演じるおはまは、混乱し、葛藤し、拒絶したあと、
    すぐに後悔するまでの激しく揺れる心の動きが、よく伝わってきました。
    突然わが子がヤクザになって現われたら、動転するのも無理ないですよね。

    巧い役者さんたちがしっかり脇を固めるなか、ちょっとだけ残念だったのは、
    おはまの娘・お登世を演じた市川ぼたんが、少々演技過剰で違和感があったこと。
    彼女のプロフィールを見たら、市川團十郎の長女だとか。
    どういうわけか、苦手な女優さんに「歌舞伎役者の娘」が多いんですよね・・・。
    TさんとかMさんとか。
    あっ、話が逸れてしまいました~o( ̄ー ̄;)ゞ

    題名の「瞼の母」とは、上下の瞼を合わせればいつでも会える、夢の中の母のこと。
    忠太郎が瞼の裏に描いた理想の母親像は、しょせん幻にすぎないのです。
    ただ、幻想を打ち砕かれたあと、最後にどこかへ旅立っていく忠太郎の背中は、
    絶望を背負っているようには見えなかった。
    むしろ、長い長い子ども時代がやっと終わったことを告げているような、
    悲しいけれど重苦しくはないラストシーンでした。





    *おまけ*
    終演後の廊下で、舞台のほうへ向かう渡辺えりさんとすれ違いました。
    背中の大きな赤いリュックが、やけに目立っていましたが。
    いったい何が入っているんだろう?


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